「新商品を出すという目的を達成することがすべて。別の誰かが主導することでプロジェクトがうまくいくなら、それでいいと思いました」

 その先輩を中心に、糀をジャムという形で商品化すること、一つの商品だけでなく「プラス糀」という商品群として新ブランドを立ち上げることなどが決まっていった。

 松井さんはこだわりに関しては譲らなかった。新商品を味見した社内の男性社員に「味にパンチが足りない」と言われることもあったが、まろやかな糀の味にこそニーズがあるという「女子の感覚」を貫いた。

 こうして発売にこぎつけた新商品は、12年度の売り上げ20億円超の大ヒット。狙い通り健康志向の女性たちの味覚をとらえた。

AERA  2014年5月5日―12日合併号より抜粋