マルコメ マーケティング本部松井久仁子さん(右端)2009年マルコメ入社。「プラス糀」の担当は、女子ばかり5人のチーム。当初は宣伝費がほとんどなく、商品を利用した料理を自分たちでレシピサイトにアップするなど、地道な努力で大ヒットにつなげた(写真:マルコメ提供)
マルコメ マーケティング本部
松井久仁子さん(右端)

2009年マルコメ入社。「プラス糀」の担当は、女子ばかり5人のチーム。当初は宣伝費がほとんどなく、商品を利用した料理を自分たちでレシピサイトにアップするなど、地道な努力で大ヒットにつなげた(写真:マルコメ提供)

 安倍政権が「女性の活用」を成長戦略に掲げるなど、社会における女性への期待度が高まっている。企業では女性が役員に就任するケースも出てきているが、一方で昇進だけがチャンスをつかむことではない。

 念願の商品を世に出し、ヒットさせるという夢をかなえたのは、味噌で有名なマルコメの松井久仁子さん(29)だ。入社以来、糀(こうじ)を使った新商品を売り出したいという野望があった。大学時代に遺伝子工学を専攻していた「リケジョ」。理系的視点から見ても、糀の栄養価は自然志向の消費者に支持されること間違いなし、と確信していた。

 入社2年目でマーケティング担当だったとき、とにかく糀商品を出したいと会議で提案した。塩糀ブームが到来する前だったが、その熱意が伝わって女性2人だけのプロジェクトが立ち上がった。

「当初は全く期待されていない弱小プロジェクト。糀は砂糖に代わる甘味料になるという熱い思いだけがありました」

 商品企画や開発の経験がない2人は行き詰まった。プロジェクトが大きく前へ進んだのは、その経験がある先輩女性がチームに加わってからだ。ここに“女子ならではの強み”がある。旧来の男性的な考え方なら、セクション主義や手柄を横取りされるのが嫌という理由で、人に頼ることができなかったかもしれない。松井さんは言う。

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