小学校までは成績優秀。中1の1学期も、まずまずだったのに…。2学期になってがくっと成績が落ち込み、勉強嫌いになるケースが増えている。我が子を救うには、親がどう向き合えるかが問われている。ベネッセ教育総合研究所の主任研究員・樋口健さんは、子どもの学力向上には親のかかわりが重要だと話す。
「成績が下がる、もしくは上がらない子どもの親は、テストの点数や結果しか気にしない傾向がある。どうしてこんな点なのかと叱りつけ、塾へ行けと命じる。でも、成績が上がる子や常に上位の子の親は、子どもが学習するプロセスに寄り添おうとします。『どこがわからなかったの?』と尋ねて一緒に見直しをしたり、次はどう勉強したらいいかを子どもに考えさせるよう導いたりするのです」
では、親は具体的にどう子どもと向き合えばいいのか。教育関係者が口をそろえるのが、学習習慣をつくる手助けをするということだ。そして、そのプロセスで重要な力が、脳科学でいうところの「メタ認知力」だという。メタ認知の「メタ」は「高次の」という意味。「メタ認知力」は、高い視点から俯瞰で自分自身を眺められる能力を指す。
「要するに問題解決能力です。自分には何が足りないのか、どうすべきかを自ら考え、学びに向かう力を持てる子に育ててほしい」(樋口さん)
前出の中学教員は、メタ認知力を「自己分析力のようなもので、今の子には本当に足りない」と実感している。できない子は「何ができて何がわからないのか」を理解できない。数学の補習で「何がわからないの?」と尋ねると「全部!」「数学!」「方程式!」とおおざっぱにしか言えない。ああ、わが子のよう! そう嘆く保護者に朗報がある。