スズメバチに出会ったら、姿勢を低くしてゆっくり後ずさりしてその場から離れること。手で追い払ったり、走って逃げたりしたくなるが、それは逆にスズメバチを刺激して危険だ。山や畑などスズメバチが出る可能性がある場所には黒い服装ではなく、白い衣服で出かけ、香水など匂いが強いものを付けないことなども大事だ。

 田迎さんはこれらの対策について話しつつ、駆除業者にも注意が必要だと強調した。

「インターネットを見たら、何十万円もするやたらと費用が高いところがあるんですね。驚きました」

 それを基本料金として、さらに出張費とか、高所作業代などが上乗せされ、もっと高くなるケースもあるという。金額や作業内容、駆除の実績などをしっかり聞いて納得してから依頼すべきだと話す。

 ちなみに田迎さんのみどり産業は上限2万2千円である。スズメバチ駆除は怖いし、早く対応してほしいと考えている点につけこむケースがあるようだ。スズメバチより怖いのは人間かもしれない。

 ただ田迎さんはスズメバチを悪者にしてほしくないと続ける。

「本当はスズメバチは益虫なんですよ。田んぼや畑を荒らす虫を食べてくれるんです。農業の害虫をスズメバチが食べてくれていたので、農薬はそれほど必要なかった。でも、蜂がいなくなったので害虫がたくさん出て農薬をまかざるを得なくなったんじゃないかと考えています」

 田迎さんはスズメバチ駆除の依頼が来ても、人が通らない高い場所や林の奥の方など、それほど危険がない場合は、依頼者に駆除をやめることを提案する場合もあるという。

「昔はこれほどスズメバチに対して大騒ぎはしていなかったように思うんです。人間にとって害虫となるガの幼虫やカミキリムシなどをコガタスズメバチが食べて、それを大きなオオスズメバチが食べる。でもオオスズメバチは巣を河川敷のような場所に作るので、台風や大雨で流されてしまう。オオスズメバチも頂点に君臨できないのです」

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人間とスズメバチが共存できれば