「例えば同志社高校に入学すれば、同志社大への内部進学の可能性を残しながら、京大や大阪大も受験できます。保険として内部進学を残しつつ、他大学にもチャレンジできる点に魅力を感じ、系列校に子どもを通わせる保護者が増えています」

 10年の間に東大合格者を18人増やし、私立では5位に入った市川(千葉)は、東芝の元副社長だった古賀正一理事長のもと、校舎を新設したり、中期計画に東大の目標合格者数を定めたりするといった改革に取り組んできた。

「千葉や埼玉はもともと、県立高が優勢だった地域。東京や神奈川で私学の人気が高まってきたことで、保護者の意識も変わってきました。世の潮流と、学校改革の取り組みがうまくマッチしたと言えるでしょう」(石原さん)

◆関東の高校から京大合格増える

 同校は09年に「スーパーサイエンスハイスクール」に指定され、課題研究や海外研修に力を入れる。広報部長の高田敏行さんは「外部の課外活動にも積極的に生徒を参加させてきました。インプットだけでなくアウトプット活動にも力を入れてきたことが、生徒が将来を決めることにも生かされた」と話す。

 一方、京大のランキングには西(東京、都立)や海城(東京、私立)など、公立私立を問わず、関東の高校が多く入った。ラ・サール(鹿児島、私立)や開成(東京、私立)といった東大合格者の常連校としておなじみの高校もある。

(週刊朝日2022年3月25日号より)
(週刊朝日2022年3月25日号より)

「京大では地歴の選択科目をセンター試験と個別試験で変える必要があったり、工学部6学科の配点がばらばらだったりと、特殊な入試方式が取られていました。12年以降、選択科目の制限撤廃や、工学部での配点統一の見直しが進んだことが大きく影響しました」(石原さん)

 22年は共通テストが大幅に難しくなったことの影響、またコロナ禍に社会が慣れつつある現状も踏まえ、今後の入試状況は「21年とは大きく変わる可能性が高い」と石原さんはみる。(本誌・松岡瑛理)

週刊朝日  2022年3月25日号