東京大学の安田講堂(左)と京都大学の時計台
東京大学の安田講堂(左)と京都大学の時計台

 東大や京大の合格者数は高校をみる大きな「指標」だ。2021年までの10年での躍進校は? 異例ずくめの21年入試を含む3年間の結果も読み解いた。

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「21年は、100年に1回あるかどうかという特殊な入試環境でした」

 駿台教育研究所の進学情報事業部長、石原賢一さんは昨年の入試をこう振り返る。変化のポイントは二つある。

 一つは、約30年続いた大学入試センター試験が廃止となり、共通テストが導入されたこと。もう一つが国内でも新型コロナウイルスの感染が広がったことだ。

 各地で高校が一時は一斉休校となり、都道府県間の移動も制限された。こうした影響から見られた21年入試の特徴を、石原さんは「3C」と要約する。

「エリアや受験校数を絞り込み、無駄打ちをしない(Compact)。入試方式が変わった大学は避ける(Conservative)。入試日程や受験料など、受けやすさを重視する(Convenient)。これら三つの傾向が顕著でした」

 ベネッセ教育情報センター長の谷本祐一郎さんも「21年の入試は全体的に安全志向が強かった」とした一方で、「東京大学や京都大学といった難関大学志望者については、本来の志望を貫く傾向が見られた」と指摘する。

 昨年、東大では前年と同様、都市部の私立中高一貫校が軒並み上位を占めた。

(週刊朝日2022年3月25日号より)
(週刊朝日2022年3月25日号より)

 2位の灘(兵庫)は、前年から18人多い97人の合格者を出し、うち現役は75人だった。同校の1学年あたりの定員は約220人。この年は、学年の3割以上が現役で東大に合格した計算になる。

「灘は東大理科III類の合格者数が国内でトップクラスで、医学部に強い学校として知られる。それが21年入試では東大合格者97人のうち、文科類の合格者が29人にのぼり、文系の合格者の割合が上昇しました」(谷本さん)

 6位に入った西大和学園(奈良)は14年、国際的に活躍する人材を重点的に育てる「スーパーグローバルハイスクール」に文部科学省から指定された。模擬国連への参加やハーバード大の学生との交流事業などを通じ、グローバルリーダーの育成に力を入れている。

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