日比野克彦さん(左)と林真理子さん (撮影/写真部・高橋奈緒)
日比野克彦さん(左)と林真理子さん (撮影/写真部・高橋奈緒)

林:やっぱり国立大学を受かるぐらいの実力がないとダメなんだ。5浪、6浪の人もいっぱいいるわけでしょう?

日比野:いて不思議じゃないし、実際にいますよね。純粋な浪人じゃなくて、社会人になっていろんな仕事をしながら受ける人もいますし。ほかの大学と比べると、現役の割合はかなり少ないと思う。

林:芸大といえば、音楽も牙城ですよね。

日比野:作曲、器楽、邦楽、声楽、指揮などあらゆる領域がありますが、その周辺の魅力もあります。日常の中でふれる音楽とかね。

林:ゲーム音楽とか?

日比野:それもこれからの分野ですよね。

林:私は、バイオリンを持った学生さんが歩いていたりする、あの上野の森の雰囲気、とても大好きなんです。

日比野:芸大って上野のイメージがすごく強いけど、四つあるんですよ、キャンパスが。

林:えっ、知りませんでした。

日比野:上野と、取手(茨城県)、北千住(東京・足立)、横浜の四つで、特に取手は郊外にあって、駅から車で10分ぐらい行ったところの利根川のほとりなんです。のどかで、ヤギを飼って建築科の学生が柵をつくったり、地域の人たちと一緒に野菜をつくったり、それを学食で出したり、アートプロジェクトの実践みたいなことができるんです。それは上野じゃなかなかできないことですよね。それぞれのキャンパスが「らしさ」を持っているのが、芸大の一つの魅力かなと思いますね。

林:学長にはお迎えの車が来るんですか。

日比野:昔は公用車があったようですが、いまはそういうの、ないんですよ。いま全国的にないんじゃないのかな? 学長の公用車。

林:あるのは日大の理事長ぐらいか……。あ、よけいなことを言いました(笑)。でも、学長になると居酒屋とかにはあんまり行けなくなるんじゃないですか。

日比野:どうなんでしょう。宮田さんとか澤さんが学長のころ、みんな上野で飲んでましたよ。

林:私、「ジャポニスム2018」(日本文化を紹介する日仏友好160周年のイベント)の委員をやっているとき、宮田さんにもよくおめにかかりました。日比野さんもこれから、官邸で岸田さんから「大阪万博についてちょっとご意見を」とか言われたり、官邸との距離も近くなるんじゃないですか。

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