林:「ルンルン」(『ルンルンを買っておうちに帰ろう』)のときだから、82年かな。

日比野:まさにそのぐらいに文学界では林さん、演劇界では野田秀樹さん、鴻上尚史さん、アカデミズムでは浅田彰さん、いろんな領域から若いスターが出てきた。そのとき、筑紫哲也さんが「新人類」と呼んでいましたよね。

林:朝日ジャーナルの「若者たちの神々」ですね。日比野さんもあのころパーッと有名になって、メディアにもよくお出になって。「段ボール小僧」だった方がまさか芸大の学長になろうとは。

日比野:アハハ、ほんとだよね。

(構成/本誌・直木詩帆 編集協力/一木俊雄)

日比野克彦(ひびの・かつひこ)/1958年、岐阜県生まれ。東京芸術大学大学院(デザイン専攻)修了。82年、在学中に段ボールを使ったアート作品で注目を浴び、95年ベネチア・ビエンナーレに出品。現代美術家として、舞台美術・パブリックアートなど、多岐にわたる分野で活動。日本グラフィック展大賞、毎日デザイン賞グランプリ、芸術選奨文部科学大臣賞など受賞多数。岐阜県美術館館長。2016年から東京芸術大学美術学部長、22年4月に同学長に就任予定。

週刊朝日  2022年1月28日号より抜粋