※写真はイメージです (GettyImages)
※写真はイメージです (GettyImages)

「年齢的にこれらは仕方のないことだと思うのですが、さらに追い打ちをかけるのが男性の言動なんです」

 そう話すのは男女の性に詳しい文筆家の神田つばきさんだ。

「ろくに女性の体を知らないのに、性交痛があると言うと『セックスすれば治る』と言い張ったり、『セックスすればいくつになってもきれいでいられる』と決めつけたり、勝手な言い分ばかり」

◆コロナ禍で在宅 妻にマッサージ

 さらには、こんな行動も最低だという。

「ゼリーやローションの成分を確認せずに買ってきて勝手に使おうとする。膣の吸収率は上腕内側の皮膚の40倍も高い。だから安心安全な成分のものを使わないとかえって危険です。使えばいいというものではありません。さらに痛いと言っているのに挿入するやいなやピストン運動を繰り返す。挿入したらまずはじっとしていてほしいという女性は多い。話そうとしても聞く耳をもたない男性が多すぎます」

 女性たちの怒りを代弁するように神田さんの語気は荒い。女性の「パートナーへの不信感」はなかなか払拭(ふっしょく)することはできない。

 では、中高年はセックスにどう向き合ったらいいのだろうか。まずは「セックス以外の時間で、相手を異性として大切にするところから始まる」と神田さんは言う。

 50代になったら、夫婦関係を見直すことが最重要なのだ。現在の平均寿命は男性82歳、女性は88歳。セックスを取り戻せるかどうか以前に、残り30年以上におよぶふたりの生活のベースを再構築することを優先したほうがいいようだ。

「コロナ禍で在宅勤務が増えたとき、妻が更年期症状に苦しみながら仕事をしているのを初めて知りました。どうせ自宅での時間が長くなったのなら、僕が家事をやってみよう、それも気分転換になるかもと、まずは料理を始めてみました」

 そう話すのはケイスケさん(58歳)。

「ネットで検索しながら見よう見まねで作ったら、妻が喜んでくれるわけですよ。『おいしい』と言われるとうれしい。オレは妻の料理にちゃんと言葉でお礼を言っていたかと省みました。しみじみと『今までごめんね、ありがとう』と言うことができました」

次のページ