古賀茂明氏
古賀茂明氏

 2021年版「EF EPI 英語能力指数」では日本の英語力は世界112か国中78位と驚くべき低さ。マダガスカルのすぐ下で、香港、韓国、中国よりはるかに劣る。THE世界大学ランキング2021でも、東大が世界36位に過ぎない。東大の上を行く大学が二つある中国でさえ、富裕層では、子供を小さい頃から米国などに留学させて教育するのが当たり前になっていることは、日本人にとっても参考になる。

 現に、かなり前から、日本企業の米国駐在員などの間では、本人が帰国しても子供は米国に残して教育を受けさせるという例は多かった。しかし、最近は、子供の教育のために、親が日本企業を退社して米国で職探しをする例も増えている。

 日本経済の将来に見切りをつけて海外へ脱出する人が増えるのは誰もが予想することだ。だが、もう一つ、子供の教育のために家族ごと日本を捨てる人が増える、教育エクソダス(大量国外脱出)の時代も既に始まっているのかもしれない。

週刊朝日  2021年12月10日号より

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古賀茂明

古賀茂明

古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など

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