高齢者の血圧が上がるのには理由がある。加齢によって動脈が弾力性を失い硬くなるので、血圧を上げて全身に血液を送り込まなければならないからだ。もちろん、若いのに血圧が高すぎる人は治療が必要だが、降圧剤で無理やり血流を抑えることで脳梗塞が増えるという研究結果もある。薬で「正常値」まで下げることによって別の病気を起こす引き金になってしまっては本末転倒だ。

 血圧が上がると心配なのは脳内出血だが、脳卒中(脳梗塞を含む)による死亡は減っている。

 血圧は生活習慣を改めることで下げられるが、食生活とも深くかかわっている。新潟大学名誉教授の岡田正彦医師がこうアドバイスする。

「カルシウムやカリウムを含む食品を多く取っている人ほど、血圧が低いことがわかってきています。カルシウムを多く含む食べ物は牛乳、小魚、エビ、カニ、タコなどです。カリウムは、塩分を尿中に排出する手助けもしています。カリウムを多く含む食べ物は、ワカメ、岩のり、切り干し大根、抹茶などです」

(本誌・亀井洋志、秦正理)

週刊朝日  2021年2月26日号より抜粋

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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