東尾修
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連覇を決めて胴上げされる巨人の原監督=10月30日、東京ドーム (c)朝日新聞社
連覇を決めて胴上げされる巨人の原監督=10月30日、東京ドーム (c)朝日新聞社

 21日より始まる日本シリーズ。西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、巨人が日本一になるためのカギは「第2先発」にあると指摘する。

【写真】連覇を決めて胴上げされる巨人の原監督

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 セ・リーグは巨人がリーグ連覇を果たした。ソフトバンクと巨人に共通しているのが、新型コロナウイルスによる影響、選手のコンディションを見抜きながら、若く実績のない選手をためらわずに使ったことだ。

 状況が変化した場合に、あらゆる可能性を考えて手を打つ。開幕前に私も指摘したが、従来とは違う形の開幕で、必ず不調が続く主力が出る。その時に2軍と連携して、若手をいつでも使う勇気、覚悟がいると感じていた。巨人の原監督、ソフトバンクの工藤監督の意識は高かった。

 そして、巨人については私の想像を上回ったのが補強である。一足早く開幕した韓国、台湾プロ野球で脇腹、下半身の故障が相次いだことを参考に開幕前の早期から戦力を調査していたという。楽天で今季1軍出場のなかった高梨雄平とウィーラーをトレードで獲得した。これは原監督がチーム全体をマネジメントした好例である。救援陣は6連戦の中で必ず疲弊する。高梨の補強は本当に大きかったと思う。

「優勝するために何が必要か」を考え、変化をいとわない。近年、優勝を数多く経験したチームが一番その点を考えていたら独走という結果もうなずける。

 セ・リーグはクライマックスシリーズ(CS)がなく、巨人は日本シリーズに向かう。最初は早く優勝が決まった場合の実戦感覚がどうかと思ったが、11月14日に最終戦となるDeNA戦(横浜)が組み込まれた。日本シリーズ開幕が11月21日だから、ちょうど1週間前だ。第1戦先発が確実視される菅野智之も調整のマウンドに立てる。紅白戦やシート打撃ではどうしても遠慮が出るが、プロチームと対戦できる意味は大きい。

 昨年はソフトバンクに4連敗を喫したが、今年はどうだろうか。私は第2先発といえる投手を見いだせるかがカギを握ると考えている。

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東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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