「心臓弁膜症の手術を受けようと思う。横浜の名医の先生に執刀してもらおうと思う」

 2017年12月15日に心臓手術。 手術は成功し、横浜の病院にお見舞いに行くと、痩せていて、Aさんが付き添っていた。

「映画監督としての山前五十洋、再び生かされました。これからも作品を撮り続けます。執刀医からは退院したらバンジージャンプだって大丈夫と言われた」
 
 こんな冗談を言って、張り切っていた。当時、病院のベッドで、12年ぶりに「NHK紅白歌合戦」出場が決まった娘の倉木さんにについて、こう語っていた。

「麻衣は僕の心まで見ています。知っています。だから(デビューして)18年も頑張って来ています。その結果が12年ぶりの紅白出演として実現したのです。僕は麻衣には常に静かにそーと見守るのが真の親のすることだと思っています」

 2018年11月になると、緊急入院したと再び、本人から知らせがあった。本人からこういうメッセージがあった。

「麻衣の東京国際フォーラムライブに行って、帰って来たところ、急に寒気がして、40度の熱が3週間続きました。そして今、入院しています。心臓の近くに悪い菌が入り込んでいるので、毎日痛い。3週間、点滴の毎日を過ごしています。点滴は、体の中に入り込んだ悪い菌を退治してくれます。痛い時もしばしば、我慢の毎日です。感染性心内膜炎という病気です」

 看取ったAさんはこの時のことを回想する。

「点滴の針を刺すのに、動脈が細く、腕や足には針が入らず、首に刺していた。脳に近いから本人も気にしていたんですけれど、とても痛々しい姿でした」

 1カ月半で退院し、山前さんは周囲に「私は不死身だ」などと語り、活動を再開した。

 昨年、倉木さんはデビュー20周年で「記念ライブ」を全20公演を行ったが、山前さんは昨年10月28日、倉木の37歳の誕生日に、東京・中野でテレビドラマ「天馬天平」から60周年の記念ライブを開催した。

「お客さんは300人近くいたと思います。とても盛大でしたよ。ただ、段取りが悪くて、私は3時間半も待たされ、観客が帰り始めて数十人になった頃、マジックショーをやりました」

 ゲスト出演したハマック柳田氏はこう振り返る。山前氏が昨年制作したコメディホラー映画「MAGIC」にも主演した。

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倉木麻衣さんが3歳の時のプレゼント