回答の背景にあると思われるのが、東大における起業の動き。東大の本郷キャンパス周辺にはAI系ベンチャーが集まってきており、シリコンバレーにちなんで「本郷バレー」とも呼ばれる。11年には東大大学院の学生らがニュースアプリ「グノシー」をつくり、成功している例もある。経済産業省の調査によると、18年度の大学発のベンチャーの数は東大が271件で、2位の京大164件を大きく引き離す。

 関心を寄せる世の中の問題も尋ねた。やはり多かったのは「新型コロナウイルス」。「卒業シーズンをめちゃくちゃにされた」(文一・攻玉社)という恨み節から、「嘘だと知っててもトイレットペーパーを買ってしまう反応は興味深い」(文一・仙台第一)など冷静な分析もあった。

 他には「年金問題」や「少子高齢化」「安楽死」「地方の鉄道の存廃問題」などの国内の関心事から、「海洋プラスチックゴミ」や「食料問題」「貧困問題」など世界的な課題まで回答が及んだ。難しい社会課題の解決にぜひ取り組んでほしい。

 最後に「いま一番会いたい有名人」について尋ねた。最も多く名前が挙がったのは、同大法学部卒の人気予備校講師「林修」。同じく東大出身で、クイズプレーヤーの「伊沢拓司」が2位に入った。3番目に多かったのが「安倍晋三」(22人)。政治家では「ドナルド・トランプ」(15人)、「橋下徹」(6人)の名前が挙がった。

 女性はトップが「橋本環奈」(18人)で、続いて「浜辺美波」(15人)と正統派の若手女優が人気だった。世代を反映して、アイドルの「日向坂46」(8人)や声優も多かった。(本誌・吉崎洋夫、大学入試取材班)

週刊朝日  2020年4月10日号

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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