世界中にファンがいる「北野映画」。次回作はいつ見れるのか(c)朝日新聞社
世界中にファンがいる「北野映画」。次回作はいつ見れるのか(c)朝日新聞社

 ビートたけしといえば、昨年大みそかの「NHK紅白歌合戦」に特別企画としてサプライズ出演したことが記憶に新しい。自身が作詞、作曲も手掛けた名曲『浅草キッド』を熱唱したほか、最近得意としているジョークを交えつつ祝辞として賞状や巻物を読み上げて笑いを誘うオリジナルの芸を披露して番組を盛り上げた。

 民放テレビ局の情報番組スタッフはこう振り返る。

「日本を代表するお笑い芸人として確固たる地位を築いていたたけしさんですが、近年は18歳年下の愛人のA子さんとの交際に端を発した前所属事務所の“お家騒動”や自身の独立、長年連れ添った前妻との離婚などにより世間から“逆風”も受けていました。そうしたネガティブなイメージを払しょくする意味でも、『紅白』出場は大成功だったと言えるのではないでしょうか。もっとも、出場を後押ししたのもA子さんという話ですけど」

 そんなたけしは、芸人とは別に映画監督・北野武としての顔も持ち、「第54回ヴェネツィア国際映画祭」の金獅子賞を受賞した『HANA-BI』(98年公開)をはじめ、これまで数多くの作品を世に放っている。

 だが、17年公開の『アウトレイジ 最終章』以来、新作の発表は滞っている。

「世界中にファンを持ついわゆる『北野映画』に関しては、前所属事務所の『オフィス北野』の社長だった森昌行さんがずっとプロデューサーを務めていたこともあり、お家騒動の際にはたけしさんの今後の映画制作を危ぶむ声も一部で取り沙汰されました。新作が出ていないのは、やはりその影響があるのかもしれませんね」とは前出の民放テレビ局の情報番組スタッフ。

 しかし、実際のところは新作公開に向けた動きが水面下であるという。バラエティー番組を手掛ける放送作家は語る。

「たけしさんは昨年12月に北野武名義で自身初の歴史長編小説『首』を刊行しましたが、次の映画はその小説を題材にした作品になるようです」

 同小説は、戦国時代を舞台として“本能寺の変”を中心に、羽柴秀吉に仕えて落語家の始祖とも言われる曾呂利新左衛門をキーマンに秀吉や明智光秀、豊臣秀吉、千利休らの葛藤や裏切りを描いた群像劇となっている。

「たけしさんはかなり以前から“本能寺の変”に強い関心を示していて、いつか作品にしたいと思っていました。そして今回、待望の小説化を果たしたわけですが、小説の版元は映画事業も手掛けていますし、映像化も視野に入れての出版だというのが業界のもっぱらの見立てです。時代ものの映画となると制作コストはかさみますが、くしくも今年のNHK大河ドラマは『麒麟がくる』は光秀が主人公ですし、映画化のタイミングとしてはバッチリで、周囲も後押ししそうですしね。今春にも何らかの発表があるのではないでしょうか」(前出の放送作家)

 “戦国最大のミステリー”ともいわれる本能寺の変を北野監督がどう描くのか、何とも気になるところである。 (立花茂)

※週刊朝日オンライン限定記事

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立花茂

立花茂

東京都出身。大学を卒業後、スポーツ紙の芸能記者として活躍。その後、週刊誌や月刊誌、ニュースサイトなどでも記事を執筆。得意ジャンルは芸能だが、取材対象はアニメ、競馬、プロレスなど多岐に及ぶ。最近はweb3.0にも興味あり。

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