「ミイラは人間が生きた歴史の証し」 国立科学博物館でミイラ展  (1/4) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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「ミイラは人間が生きた歴史の証し」 国立科学博物館でミイラ展 

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永井貴子週刊朝日
中王国時代のミイラマスク 彩色された石こう エジプト 中王国時代、第11王朝末~第12王朝初頭(紀元前2010年ごろ~前1975年ごろ) レーマー・ペリツェウス博物館所蔵 ROEMER UND PELIZAEUS-MUSEUM HILDESHEIM

中王国時代のミイラマスク 彩色された石こう エジプト 中王国時代、第11王朝末~第12王朝初頭(紀元前2010年ごろ~前1975年ごろ) レーマー・ペリツェウス博物館所蔵 ROEMER UND PELIZAEUS-MUSEUM HILDESHEIM

ウェーリンゲメン ミイラ オランダ、ドレンテ州、ブールタング湿原 紀元前40年ごろ~紀元後50年ごろ ドレンテ博物館所蔵 Collection Drents Museum,Assen,The Netherlands.

ウェーリンゲメン ミイラ オランダ、ドレンテ州、ブールタング湿原 紀元前40年ごろ~紀元後50年ごろ ドレンテ博物館所蔵 Collection Drents Museum,Assen,The Netherlands.

 世界から43体の珍しいミイラを集めた特別展「ミイラ『永遠の命』を求めて」が、東京・上野の「国立科学博物館」で開かれている。一般的には、怖いイメージがあるミイラだが、カップルや女性の2人組など、年代を問わず女性の姿も多い。ミイラには女性を引きつける何かがあるのだろうか。同博物館研究員で監修者の坂上和弘さんに、ミイラの魅力について解説してもらった。

 ミイラとは、皮膚や内臓など骨以外の柔らかい組織が残り、生前に近い姿を残している遺体のことだ。ひとくちにミイラといっても、文化や場所によって姿形がまるで違うが、自然の作用で遺体がミイラ化した「自然ミイラ」と、人が手を加えて遺体を保存する「人工ミイラ」に大別できる。

 最近は、CTスキャンにかけて内部構造を画像解析するなど、ミイラ研究にたいする科学的なアプローチの手段がぐっと飛躍し、世界的にちょっとしたミイラビームが起こっているのだ。今回展示してあるミイラは、南米、エジプト、欧州、オセアニアや日本で見つかったものだ。「世界各地から集めることで、『ミイラといえばエジプト』の固定観念をひっくり返し、人々のそばにはミイラが存在していたことを理解してほしかった」と坂上さんは話す。

 最初の人工ミイラはどこでつくられたのだろうか。「紀元前5千年ごろに、南米チリ北部の砂漠に住む民族がつくっていました。エジプトのミイラより、2千年以上前です」(坂上さん)

 南米では、13~16世紀に興ったインカ帝国でもつくられていた。手足とひざを強く折り曲げて、木綿布ですっぽりと包んだ上に目と鼻、口の絵が刺しゅうされている。残念なことに、スペイン人の征服とキリスト教の普及のなかで、ほとんどが破壊されてしまう。

 展示される「チャチャポヤのミイラ」は、ペルー北東部で奇跡的に破壊を免れた約200体ものミイラの一部だ。

「発見されたのは、ペルー北東部の高山です。村を見下ろすような岩棚で、まるで一族を見守るように置かれていました。お墓というより、日本の仏壇や遺影に近い感覚ではないでしょうか」(坂上さん)


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