法廷で憮然としていた籠池夫妻(撮影・今西憲之)
法廷で憮然としていた籠池夫妻(撮影・今西憲之)

  国や大阪府・市の補助金をだまし取ったとして詐欺罪などに問われた「森友学園」前理事長、籠池泰典被告(66)と妻の諄子(じゅんこ)被告(62)の第3回公判が5月31日、大阪地裁で開かれた。

 森友学園が豊中市で開校を目指した小学校の校舎設計業者の社長が証人出廷し、両被告から国の補助金を「ぼったくってほしいと要求された。補助金が減額されると出入り禁止やと言われて大げんかになった」と証言。

 一方、両被告は国の補助金詐取について「だまし取るつもりはなかった」と無罪を主張し、検察側と真っ向から対立した。

 5月29日にあった第2回公判では検察の政治家への「忖度」が垣間見えるシーンがあった。

 最初の証人として出廷したのは、森友学園の小学校設置や補助金支給に関与した大阪府教育庁私学課担当者だった。

 籠池両被告と面識があったようでお互い挨拶をかわすなど、なごやかな雰囲気で証言がはじまった。

 だが、そんな空気が一転したのは、籠池被告の弁護人が質問をはじめた時だ。

 大阪府で小学校設置基準の条件が緩和されたが、その背景について職員は「森友学園からも要望があった。それと当時、府会議員の東徹先生(日本維新の参院議員)、元府議の畠成章先生からもその後、緩和を求める話がありました」と政治家の名前を出して証言した。

 検察側は慌てて「(検察側の)主尋問と関連性がない」と異議を唱えた。

 だが、職員は検察側の事情聴取の折も政治家の名前が入った資料を提出し、同じ趣旨のことを供述。調書化されたという。

 裁判長は休廷をし、5分以上、合議して検察側の異議を棄却した。森友学園は国有地を譲り受け、小学校の開校を計画していた。国有地取得について職員は近畿財務局と相談をしたというが、その内容は検察の取り調べ段階でも話題になったという。

 そこで籠池氏の弁護人が「近畿財務局がかかわっていたという話を(取り調べで)していますね。調書に『通常の認可申請とは異なる案件』と記されている」と質問すると職員はこう答えた。

著者プロフィールを見る
今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

今西憲之の記事一覧はこちら
次のページ
裁判所も「忖度」?