小泉進次郎氏(右)と珍しいツーショットの高橋由伸前巨人監督 (c)朝日新聞社
小泉進次郎氏(右)と珍しいツーショットの高橋由伸前巨人監督 (c)朝日新聞社

 昨年まで巨人の監督を務めていた高橋由伸氏の表情が明るいことがキャンプ地で話題になっている。各球団を視察しているが、西武で内海哲也、広島では長野久義と、昨年まで共に戦った選手たちと談笑する姿も。セ・リーグの球団首脳は「高橋さんってあんなに笑う人なんだって若い選手の間で話題になっていますよ。やはり巨人の監督時代の重圧は計り知れないものがあったと思います。また監督をやる時が楽しみですよね」と期待を口にした。

 息つく間もなく走り抜けてきた。1997年ドラフト1位で入団して以来、巨人一筋18年間の現役生活。2015年オフに現役引退し、ほどなく監督就任。だが、指導実績がない上にチームは主力たちの高齢化で若返りを図らなければいけない過渡期だった影響もあり、3年間でリーグ優勝は0。

 昨年もリーグ3連覇した広島に独走を許し、4年連続でV逸。球団は岡本和真、吉川尚輝ら若手を育成した手腕を評価して続投要請の意向だったが、高橋氏は成績低迷の責任を取って辞任した。

 シーズン中は2軍落ちしたゲレーロが面談をボイコットするなど、高橋氏のマネジメント能力に疑問符をつける声が多かった。ベンチでメモを取る姿にも悲壮感がにじみ出ていた。高橋氏をよく知るテレビ関係者は「由伸さんはクールで近寄りがたい雰囲気がありますが、話してみると親しみやすいし年下の選手にいじられるタイプですよ。ただいきなり監督になって選手との距離感が難しかったと思います」と振り返る。

 指導者として志半ばに終わった高橋氏本人も期する思いは強い。「負けたままでは終わりたくない」と将来的な監督再登板に意欲を示している。ファンからも「由伸さんはスーパースター、バックネット裏で野球を勉強して、また巨人の監督に戻ってきてほしい」という声が多い中、SNSでは「原(辰徳)監督が強いジャイアンツを作って、高橋由伸が他球団の監督として対決する姿も見たい」という書き込みも。まだ43歳。再び監督としてユニホームに袖を通す日が楽しみだ。(春日哲也)

週刊朝日  2019年3月8日号