呼吸力を鍛え、肺機能を高めよう 1/2 (週刊朝日 2019年1月25日号より)
呼吸力を鍛え、肺機能を高めよう 1/2 (週刊朝日 2019年1月25日号より)
呼吸力を鍛え、肺機能を高めよう 2/2 (週刊朝日 2019年1月25日号より)
呼吸力を鍛え、肺機能を高めよう 2/2 (週刊朝日 2019年1月25日号より)
エビデンス(科学的根拠)のある食べ物で、肺をさらに丈夫に (料理撮影/写真部・掛 祥葉子レシピ・料理製作/牧野直子 週刊朝日 2019年1月25日号より)
エビデンス(科学的根拠)のある食べ物で、肺をさらに丈夫に (料理撮影/写真部・掛 祥葉子レシピ・料理製作/牧野直子 週刊朝日 2019年1月25日号より)

 呼吸は、人が生きることに直結している。人間の肺自体を若返らせることはできないが、肺の働きをよくし、肺機能の低下を防ぐことは可能だという。必要な酸素を体内に取り入れ、十分に息を吐き出す“いい呼吸”を意識して、今日から「肺活」を始めよう。専門家のアドバイスを紹介する。

【肺機能を高めよう!ストレッチ方法やレシピはこちら】

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 厚生労働省から発表されている2017年人口動態統計(確定数)によると、肺炎は男女共に死因の上位に入っている。また男性の8位には、慢性閉塞性肺疾患(COPD)も入っている。COPDとは、長年、たばこの煙を主とした有害物質を吸い込むことにより、気道や肺に炎症を起こす病気だ。気道や肺は徐々に傷つけられ、最終的には肺の中にある肺胞が溶けてしまうというから恐ろしい。日本呼吸器学会専門医で池袋大谷クリニック院長の大谷義夫さんは言う。

「日本人の死因の第1位はがんですが、がんだけで亡くなる方は全体の2割です。残りの8割の方は肺炎を合併したりして亡くなることが多い。ウイルスや細菌に感染するのを防ぐためには、きちんと咳を出す力をキープし続けることです」

 咳を出す力とは?

「気道に侵入した異物を排出する『咳反射』のことです。この咳反射が衰えていると異物をきちんと吐き出すことができず、肺炎などを起こすリスクが高くなってしまうのです。健康長寿のためには日頃から肺機能を鍛え、咳反射を高めておくことですね」

 だが肺そのものを若返らせたり、鍛えたりすることはできない。肺の中の肺胞は細胞分裂することはないので、数億個ある肺胞の数は増えることもなければ入れ替わることもないからだ。

「私たちが肺機能を高めるためにできることは、肺のまわりにある『呼吸筋』を鍛えることです」

 そもそも肺には自分で動く仕組みがない。呼吸は「呼吸筋」と呼ばれる筋肉の収縮によって行われているので、この呼吸筋を鍛えることが肺の働きを保ったり、よくしたりすることにつながるのだ。

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