「ふじさわプラス・テン体操」(ふじさわプラス・テン研究班提供)
「ふじさわプラス・テン体操」(ふじさわプラス・テン研究班提供)
「ふじさわプラス・テン」のストレッチ体操 (週刊朝日 2019年1月4-11日合併号より)
「ふじさわプラス・テン」のストレッチ体操 (週刊朝日 2019年1月4-11日合併号より)
健康づくりの身体活動基準 (週刊朝日 2019年1月4-11日合併号より)
健康づくりの身体活動基準 (週刊朝日 2019年1月4-11日合併号より)

「今もシルバーカーを押しながら近所のコンビニに買い物に出かけていますよ」

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 そうほほ笑むのは埼玉県に住む女性(78)。がんの闘病中に夫が他界し、その後大腿骨骨折、脊柱管狭窄症と2年間で4回手術した。

 退院後は寝たきりにならないように、マシンを使って脚の筋トレを週1度、理学療法士に教わっている。重りなしで動作を覚えることから始め、今は10キロ20回を2セットできるまでに。努力のかいがあって、要介護度は要支援1のままだ。

 70代後半を過ぎると、認知症や要介護となる人がぐっと増える。大病をして手術後に体を動かさないままだと、筋肉や関節が萎縮する廃用症候群になりやすい。心機能が落ちるとともに、誤嚥性肺炎を起こす人もいるので要注意だ。

 日本人の平均寿命は、男性約81歳、女性約87歳。日常生活に支障ない健康寿命との差は男性約9年、女性約12年ある。寝たきりや介護の時期をできるだけ遅らせて短くすれば、医療や介護の費用を抑えられる。充実した老後を送るため、健康寿命を延ばすことがカギとなる。

「健康に過信は禁物。まだ若いからと安心せず、50代になれば体を鍛えたり、生活習慣病を防ぐ食生活を心がけたりしましょう」

 そう話すのは『健康寿命の延ばし方』(中央公論新社)の著者で、東京都健康長寿医療センター高齢者健康増進事業支援室研究部長の大渕修一さん。

「例えば、体重は変わらないのにウエストがきつくなった人は要注意。骨格筋が落ちている証拠で、老化のシグナルの一つです。女性の場合、閉経後から筋肉量の低下が顕著になります。ダイエットより、少しずつ体を鍛え直したほうがよい。また、老いは足腰からと言われるように歩くスピードもシグナルの一つで、足腰の強さを示す歩行速度はとても重要です」(大渕さん)

 例えば5メートルを歩くとき、男性3.6秒未満、女性3.8秒未満だと衰えていない証拠。男性4.4秒、女性5秒以上だと、足腰が弱り始めた目安という。

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