体操の会が開かれる集会所などに来られない人向けに、ネット上で動画も公開。会の運営は住民が担い、地域のコミュニティーづくりにも一役買う。休んだ人には声かけするなど、見守りや孤立防止にもつながる。

 運動だけでなく、食事や食べ方にも注意が必要だ。

 特に70代以降、夫や妻に先立たれて“おひとりさま”となれば、食事が面倒になる。カップ麺や菓子パンばかり食べる人も多いが、栄養不足はフレイル(虚弱)の原因の一つだ。前出の大渕さんはこう指摘する。

「70代ごろになると、硬い肉などを食べにくくなり、たんぱく質不足になりがちです。サバ缶のような軟らかく煮てある缶詰などを活用すれば、たんぱく質を手軽にしっかりと取れます」

 60代は元気はつらつな人も、70代になれば持病の悩みが増える。認知症の有病率は75~79歳の女性が14.4%。70~74歳のときと比べて4倍近くに高まる。75歳以降は、要介護認定を受ける人の比率が大きく上がる。80代半ばに到達すると、自分で食事の用意が難しい人が増加。高齢者施設を終のすみかに選ぶことも選択肢の一つになる。

 自宅で生活している人は見守りを兼ねたお弁当の宅配などを使う手もある。歯ごたえのないパンなどばかりを食べていると、低栄養になるだけでなく咀嚼筋も衰える。口の機能の衰えはオーラル・フレイルと呼ばれ、老化を加速させる。50代ごろから歯周病になる人が増えるため、自分の歯でいつまでもかめるように早くから手入れをしよう。(村田くみ)

週刊朝日  2019年1月4‐11日合併号