「健康寿命を延ばす効果があるのは速歩きです。夫婦や友人と一緒に歩き、ペースについていけないと感じたら老化を自覚しましょう。少しでも速歩きを心がけると、老化を防げます。自宅から駅への10分を9分半で歩くよう意識するなど、少しずつ速くするとよい。ゆっくり何千歩も歩くより効果がありますよ」(同)

 歩幅を足半分ほど大股に意識すれば、効果が増すという。足腰を鍛えるため、筋トレだけでなく、日常生活でエスカレーターやエレベーターを使わず階段を上り下りすることも大事だ。

 自宅でテレビを見ながらできるのは、筋肉量の多いふくらはぎを集中的に鍛える「つま先立ちかかと落とし体操」。まっすぐ立った姿勢で、かかとを4秒ほどかけてゆっくり上げて4秒かけてゆっくり下ろす。1日10回繰り返すだけでよい。

 厚生労働省「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」をみると、年代別に必要な身体活動量がわかる。日常生活での身体活動の強度を「メッツ」で示し、どのくらいの活動で健康を維持できるかを計算できる。メッツ数を意識して体を動かすとともに、今より1日10分多い運動「プラス・テン」をすべての世代で心がけたい。

 各地の公民館やサークルなどでの体操教室が開かれるなか、「わずか10分で健康維持」と話題なのは、神奈川県藤沢市の「ふじさわプラス・テン体操」だ。

 同市と市保健医療財団、慶應義塾大大学院が協力し、市民の身体活動を促進する取り組みの中でつくった。市内の約70のグループが実践。同大学院は、体操を続ける高齢者らの健康を3年にわたり調査している。健康マネジメント研究科・スポーツ医学研究センターの齋藤義信助教がこう話す。

「10分間のプログラムは柔軟性運動、有酸素運動、筋力増強運動、バランス運動を組み合わせました。なじみの童謡でピアノのリズムに合わせて体を動かし、楽しくできます」

 ポイントは立っても座ってもできること。柔軟は、太ももの後ろの筋肉を伸ばす、ふくらはぎを伸ばすなどのストレッチ運動。有酸素はその場で足踏みする運動、筋力増強はスロースクワットの運動、バランスはかかとの上げ下ろし運動など、短時間でも効果が表れやすい動作に絞っている。

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