「昭和20年代後半から30年代に創業した人が多い。元気な高齢者が多く、年長者を大事にする。『親が元気なうちは役職はそのままにしておこう』と子どもが考え、役員にとどめている自営業者もある」

 開業率が高いことも関係している。総務省の「経済センサス活動調査」によると、沖縄は開業率が全国平均を上回って推移している。

「観光客をターゲットにした新たなビジネスをする人も多い。思い切りの良さもあり、高齢者でもいい話があれば起業することもある」(安慶名さん)

 長く働く地域はどこか。年200日以上働く雇用者(役員を除く)のうち「週60時間以上働く人の比率」を見ると、トップは北海道の10.6%。埼玉10.5%、東京、福岡10.4%と続く。

「北海道の開拓者精神が影響している」と言うのは、『犬猿県 絶対に負けられない県が、隣にいる!』などの著書がある県民性の専門家、矢野新一さん。北海道の人は合理的な考え方が強く、その意識はゴルフの楽しみ方にも表れているという。

「北海道の人たちは半日だけゴルフを楽しむ人が目立つ。一日遊んでいるわけにはいかないと、ささっと終わらせて仕事をするのです」(矢野さん)

 関連して、働く人(15~64歳)の比率が高いのは福井80.3%、山形79.7%、富山79.1%。いずれも共働きの世帯が多く、働く女性が貢献している。

 低いのは奈良、沖縄、北海道、徳島、福岡など。福岡について、前出の岩中さんはこう見る。

「福岡は祭りのために人生があるという人もいるほど。『山笠』があるときは、福岡の男性は働かなくなるとも言われる。あくせく働く意識が比較的弱いのかもしれません」

(本誌・吉崎洋夫)

週刊朝日  2018年11月9日号より抜粋

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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