「首や腰の手術はとても専門性が高く、医師の経験や手術の技術が患者さんの術後の生活に大きく影響するといえます。首や腰の手術は神経の近くでおこなうため、もし手術で神経を傷つければ手足にまひが残ったり、症状が改善しづらくなったりするリスクもあるからです。そのため、病院選びは非常に重要です」

 首や腰の病気は、薬物療法やリハビリなどの保存療法で改善することが多い。しかし、3カ月から半年程度保存療法を続けても症状が改善されない場合や、運動麻痺や排尿障害、筋力低下などの症状が出現した場合には手術を検討する。

 手術を受ける病院を選ぶときのいちばんのポイントは、「かかりつけの医師に紹介された病院に行くこと」と田村医師は言う。

「地元の医師は、手術をしている専門の病院をよく知っています。例えば、手術が必要になった患者さんを病院に紹介した後、治療を終えて戻ってきた患者さんを診察すれば、紹介先の病院で適切な治療を受けたか、そうでなかったかがわかります。かかりつけ医がすすめる病院なら、まず間違いないと考えていいでしょう」(田村医師)

 かかりつけ医に紹介してもらえない場合には、自力で探す必要がある。田村医師は、病院のホームページや新聞、書籍などを参考にし、以下の情報を確認することを勧めている。

(1)自分が受けたい治療・手術をするための態勢(医師、医療スタッフ、入院設備など)が整っているか。
(2)治療や手術の実績(手術件数など)。
(3)医師が脊椎の専門医、指導医、認定医であるか。
(4)体の負担が少ない低侵襲手術を取り入れているか。

「首や腰の病気は多数あり、医師の専門領域などにより、病院ごとに得意分野が異なることもあります。そのため、自分の受けたい治療や手術の実績を確認するといいでしょう。地域や施設などの条件にもよりますが、理想的には一人の医師が年間150例以上手術をしていれば、安心して任せていいと考えられます。ご高齢の方など、自分で情報を集められないときは、お子さんやお孫さんなどご家族に調べてもらってもいいでしょう」(同)

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