「以前は、高齢の方が痛みに耐えられなくなってやむなく手術を受けるということが多かったのですが、最近では『友人と旅行を楽しみたいから』『仕事を続けたいから』などの理由で手術を選択する方が増えつつあります。手術を受ける年齢で最も多いのは60~70代です」(同)

 患者にとって、股関節の手術を受ける病院選びは、ひざの手術より難しいと考えられる。ひざと比較して手術を実施している病院が少ないこともあるが、股関節の場合はとくに、「脱臼などの合併症対策に医師の技術が求められる」と近藤医師は話す。

「脱臼などの合併症を予防するためには、医師の熟練の技術が必要です。脱臼しないように、なおかつ、硬くしすぎて術後に痛みが残らないように、適切な加減で正確に設置するには経験に基づく力量が求められます。それだけ股関節の手術を受ける病院選びは難しいといえるかもしれません」(近藤医師)

 股関節の手術を受ける病院選びの指標として、両医師は「股関節の手術数」や「脱臼や感染症など術後合併症のデータ」を挙げる。ひざと股関節では手術の専門性が違うため、股関節手術の実績をみることが重要だ。

「手術数は病院の実力を示す指標のひとつになります。数が多ければ良いということではありませんが、経験が技術向上につながることは間違いありません。年間100例あれば、週に2回は手術をしているということなので、技術力の目安にはなるでしょう」(同)

「術後合併症が少ないことは、手術手技が正確であること、術後の管理がしっかりしていることの証しといえます。患者さんが『どういうリスクがあるのか?』『どのぐらいの頻度で起こるか?』と聞いたとき、明確に答えられること。さらに、それらのリスクを予防するためにどのような対策を講じているかまで説明できることが、いい病院、いい医師だと考えます」(岸田医師)

 首や腰の病気は、頸椎症(神経根症・脊髄症)、頸椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、腰椎すべり症、変形性脊椎症、脊椎骨折など多くの種類があり、首や腰の痛み、手足の痛みやしびれ、まひといった症状につながっている。平和病院横浜脊椎脊髄病センター長の田村睦弘医師はこう話す。

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