がんばって勉強した結果、Dさんは京都の名門進学校・洛星中学に進学しましたが、勉強についていけなくなり高校卒業時にはかなり成績が悪かったそうです。

中学受験で燃え尽きてしまったのか、入学後に気を抜いて、あまり勉強しなかったようです。中高一貫校の進度は速いので、勉強が遅れてしまうと、その速さに追いつけません。高校生のときは塾をさぼることも多かったようです」と、会社を経営する父親は話します。

 高校時代の3年間、医学予備校の「ビッグバン」に通いましたが、現役で受験したときの偏差値は38! もちろん医学部は全敗でした。
「この偏差値では、大手予備校の集団授業にはついていけないと思い、授業料は高かったのですが、少人数授業で、長時間勉強させるビッグバンに浪人時代の2年間も通わせました」(父親談)
 
 すると2年間で偏差値は70まで上昇し、横浜市立大学は不合格でしたが、私立御三家の日本医科大学に合格しました。

 2年間の浪人時代、ビッグバンに払った授業料は1600万円でした。
「予備校の授業料はかかりましたが、比較的授業料が安い伝統校に合格でき、ストレートで進級、国家試験にも合格したので満足しています」(父親談)
 
 結果として、6年間の学費が2800万円と比較的安い私立大に進学できたため、6年間の学費が3500万円以上の私立大と比べると、思ったほど教育費はかかりませんでした。
 
 最近は、医学生の留年が増えています。また、医師国家試験の難化に伴い、偏差値の高い医学部の学生も不合格になっています。私立大の学生が留年すると、家計にとって大きな打撃となります。ロングスパンで、どのように子どもを育てるか、教育費の資金計画をどうするかを考えましょう。
 
(文/庄村敦子)

※週刊朝日MOOK『医学部に入る2019』から抜粋