値上げは食卓を直撃する。健康食品として朝食などに欠かせない納豆。「おかめ納豆」のブランドで知られる最大手のタカノフーズは、一部の製品を4月から27年ぶりに、出荷価格の1~2割上げた。代表的な3パック入り商品の希望小売価格(税抜き)は、158円から182円に。業界大手のあづま食品も5月から値上げする。

「原料の大豆や包装用のフィルム、物流費など全体的に価格が上がっている。値上げせざるを得ないが、消費者のみなさんには大変心苦しい」(タカノフーズ)

 加工食品だけでなく、白菜やキャベツといった野菜も天候不順で高くなっている。献立を考える人にとって、悩ましい状況だ。

 ほっとしたいときに手軽に飲めるインスタントコーヒーも例外ではない。ネスレ日本は一部の製品を6~10%値上げした。物流費などの高騰が理由だ。代表的な商品の「ネスカフェゴールドブレンド」は80グラム入り瓶詰めで、希望小売価格(税抜き)869円が955円となる。

 お父さんたちの昼食といえば安くてうまい牛丼。物価が下がり続ける「デフレ」の象徴とされてきた牛丼業界も、値上げにかじを切っている。牛丼チェーン「松屋」を運営する松屋フーズは4月3日から一部の商品を引き上げ、牛めし(並盛)は290円から320円に。こちらも、原材料価格や人件費の高騰が要因だという。

 パンや麺など様々な食品の原料になる小麦も上がる。輸入小麦の製粉会社への売り渡し価格は、農林水産省が半年おきに見直す。4月からは輸入小麦の売り渡し価格を3.5%引き上げた。産地の収穫の遅れや、燃料費上昇で輸送コストが膨らんだという。

 日本たばこ産業(JT)は「わかば」や「エコー」など低価格帯の6銘柄を1箱40円値上げした。わかばは360円、エコーが350円になる。たばこ税の引き上げに伴うものだ。たばこは健康対策もあって全体的に値上がりしている。わかばやエコーなど低価格帯の商品の人気が高まっていただけに、愛煙家にはつらいかもしれない。

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