スーパーの店頭では納豆など一部商品が4月から値上がりする(c)朝日新聞社
スーパーの店頭では納豆など一部商品が4月から値上がりする(c)朝日新聞社
4月に値上げとなる主な商品・サービス(週刊朝日 2018年4月13日号より)
4月に値上げとなる主な商品・サービス(週刊朝日 2018年4月13日号より)

 新生活をスタートする人が多い4月。明るい気持ちで迎えたいが、今年は値上げラッシュの春になる。ビールや納豆、牛丼やインスタントコーヒーなど、身近なものが軒並み値上がり。一方で給料は伸び悩み、医療・介護の負担増もあって家計は苦しい。春は楽しい季節のはずなのに、どうなっているのか。

【図表でみる】4月に値上げとなる主な商品・サービス

 3月下旬から4月上旬にかけては、毎年お花見で盛り上がる。公園で桜を見た後、居酒屋に移るグループも多い。仲間とビールで乾杯するのは庶民のささやかな喜びだが、4月1日を境に「お会計」の値段が変わるところもある。

 キリンやサントリー、サッポロのビール大手は、4月1日から業務用のビールの価格を引き上げた。具体的な値上げ幅は公表していないが、サントリーの「ザ・モルツ」の大瓶だと、店頭の価格で1割程度上がる見込みだ。アサヒビールは3月に「スーパードライ」などの値段をすでに上げている。各社の大幅な値上げは10年ぶりだ。

 飲食店向けの瓶ビールや樽(たる)詰め生ビールは、空き容器を業者が回収して洗っている。家庭向けの缶ビールより手間がかかるため、トラック輸送の物流費や人件費がかさんでいた。

 居酒屋や中華料理店などでは、値上げを受けて瓶ビールや生ビールの値段を数十円程度引き上げる動きが広がる。全国に約350店を展開する居酒屋チェーン「養老乃瀧」では、大半の店舗で4月10日から生ビール(中)を20円引き上げて460円前後にする。

 飲食業界は競争が激しく値上げは避けたいが、アルバイトの確保が難しくなるなど人手不足に加え、食材費の高騰が経営を圧迫している。

「ビールはみんなが注文するものなので値上げしたくないが、どこも経営は厳しい。経営努力では対応できず、価格転嫁するしかない」(都内の飲食店経営者)

 ビールがダメならワイン、というわけにもいかない。アサヒビールやサッポロビール、メルシャンは一部の商品を4月から値上げした。出荷価格でアサヒビールは平均約5%、メルシャンは3~5%程度引き上げた。南米などブドウ産地の天候不順により原材料仕入れ価格が上昇しているという。メルシャンの国産の「おいしい酸化防止剤無添加赤ワイン」(720ミリリットル)では、参考小売価格(税抜き)が20円上がり590円になった。

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