元信者で、いまは信者の家族らの相談に乗っている30代の男性はこう訴える。

「自分が摂理にいたころは批判的な記事は全部うそだと教え込まれていた。一度入ってしまうと脱会は非常に困難。名前や活動場所をこまめに変えるなど巧みに勧誘していて、日本では信者は減っていない。そういった団体があることを、学生に呼びかけていく必要がある」

 心理学や宗教学の専門家らでつくる日本脱カルト教会の西田公昭・代表理事(立正大学心理学部教授)も懸念を示す。

「団体ではうそや情報の隠蔽(いんぺい)が行われ、メンバーに対する人権侵害が表に出にくい。摂理に限らずいろんな団体が、学校に新入生が入る春から夏にかけて勧誘しようとしているので、注意しなければいけない」

 カルト集団の対策に取り組んできた川島堅二・恵泉女学園大学名誉教授(宗教学)も、危険性を感じている。

「今回の出所をきっかけに、信者がネットで発信し始めている。いまの若い人は摂理と聞いても違和感がない。宗教であることを隠して、バレーボールや演劇のサークルなどを通じて勧誘しており、知らないまま引き込まれてしまう恐れがある」

 全国霊感商法対策弁護士連絡会(03・3358・6179)では、信者や家族らからの相談を受け付けている。

本誌・多田敏男

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