会見で警戒を呼びかける全国霊感商法対策弁護士連絡会や日本脱カルト教会の関係者ら=2月19日、東京都港区(撮影/多田敏男)
会見で警戒を呼びかける全国霊感商法対策弁護士連絡会や日本脱カルト教会の関係者ら=2月19日、東京都港区(撮影/多田敏男)

 「摂理」と呼ばれる韓国発の新興宗教が再び注目されている。女性信者への性的被害によって韓国で懲役刑を受けていた、教祖とみられる鄭明析(チョン・ミョンソク)氏(73)が、2月18日に出所したためだ。全国霊感商法対策弁護士連絡会や日本脱カルト教会は、「活動を再び活発化する恐れがある」として警戒を呼びかけている。

 同連絡会などによると、摂理は1979年ごろに韓国で創設され、キリスト教を独自に解釈して信者を広げた。日本にも進出し大学生らを中心に信者を増やしていたが、宗教団体であることを隠した勧誘などが社会問題化した。現在は「キリスト教福音宣教会」と称しているという。

 鄭氏は女性信者らへの強姦致傷(ごうかんちしょう)などの容疑で逮捕され、2009年に韓国で懲役10年の刑が確定していた。

 鄭氏の出所を受けて同連絡会は2月19日に会見。逮捕によって韓国では一時約10万人いた信者が約4万人にまで減ったとされるが、今でも鄭氏が冤罪(えんざい)だと信じている人は多いと指摘した。日本では信者は3千人前後とみられ、逮捕後も増えているとの見方もあるという。

 同連絡会などは、正体を隠した勧誘が行われていると、問題視している。

「学生時代に信者だった人が社会で活躍するようになり、正体を明かさずに勧誘している。大学生や高校生がターゲットになっている」(渡辺博弁護士)

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