放送作家・鈴木おさむ氏の『週刊朝日』連載、『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。鈴木氏はこの年末、熟女キャバクラに初めて行ったという。
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50代、60代でバリバリヒットを出している人たちに聞くと、みな、40代はしんどかったと言っていた。
最近、知ったことだが、あの手塚治虫先生も、40代の中盤まではしんどかったようだ。45歳の時の手塚治虫先生は虫プロダクションが倒産し、借金を背負い、ヒット作にも恵まれず、窮地に立たされていたらしい。手塚治虫先生も40代前半からしんどかったのだと。なんかホッと安心。ただ、同じ年に「週刊少年チャンピオン」で、ご存知「ブラック・ジャック」の連載を開始させて大ヒット。ヒットメーカーに返り咲いてしまうのだから恐ろしい。
僕は普段、キャバクラとかクラブと言われるところにはほぼ行かない。お相撲さんと地方に行った時とか、都内でも、年に1度か2度、付き添いで行くくらい。
そんな僕が通っている五反田のスナックがある。雑居ビルにあるのだが、そのスナック以外はほぼキャバクラだ。そして一番目立つ1階には熟女キャバクラなるものがある。熟女キャバクラって一体どんな人たちが働いているのか、ずっと気になっていた。そんな時僕の友人の誕生会を、その熟女キャバクラでやってみよう!ということになった。
予約して、総勢10名ほどで出向かせていただいた。まず驚いたのはお客の客層。僕なんか若いほうで、50代、いや、60代のお客さんがとても多かった。僕を見た60代の元ヤン風のおじさんに、「あれ? おさむじゃん。キャバクラ来るんだ! 一緒に飲もうぜ」と鞄を掴まれたところで、ちょっと心が折れたりして。
店内を見回すと、確かに、決して若くはない女性たちが接客している。僕らが座った席にも女性たちがやってきた。熟女と言われる人たちが。いろいろ聞いてみると、この店の平均年齢は40歳。僕の右隣に座っていた女性が37歳。左に座った女性は41歳。この女性、Iさんとさせていただこう。もちろん、みんな熟女キャバクラで働く「熟女」という認識のようだ。