なぜなら、僕らの反対に座っている人たちの会話を聞いていると、熟女いじりをされているのだ。60歳過ぎのおじさんの熟女いじり。みな、20代ではないことを逆に武器にして接客している。正直、たくましいと思った。
そして、僕の左に座った41歳のIさん。いろいろ話していると、お子さんがいることがわかった。旦那さんとは離婚して、現在9歳のお子さんを一人で育てているらしい。お昼は毎日会社員として働き、夜は、週に4回、遅い時間に出勤して、熟女いじりをされながら、働いているのだという。Iさんは、僕に笑顔を作りながら言った。「生きるのってしんどい」と。そうだよな。人それぞれ生きている環境は違うし、悩みも違うけど、生きるのってしんどい。
しんどいけど、Iさんだって子供の笑顔を見るため、自分のため、生きている。
生きるのはしんどい。しんどくていい。しんどいのが当たり前。みんなしんどい。2017年の年末に、五反田の熟女キャバクラで言われた一言で、来年もがんばろうと思えた。
40代のしんどさが、50代、60代の筋力になるように。
※週刊朝日 2018年1月5-12日合併号