佐藤さんによると、子育てにおいて目標を定めたら、日々やるべきことは数字に落とし込むのが大事なのだという。3歳までの2年半に1万冊読むために、1万冊を3歳までの日数で割って、1日に読む冊数を最初は「1日15冊」と決めた。

「15冊と聞くと、『多い!』と感じるかもしれませんが、赤ちゃん向けの絵本は短くて、すぐに読めます。『もう一回』と言われ、再度読んだら2冊とカウントします」

 目標達成のためには、「見える化」も大事だ。佐藤さんは、毎朝起きたらその日に読む本を選び、食卓にすべて積み上げておき、家事の合間に読むようにした。

「子育て中はどうしても家事に追われがちになります。読み聞かせのためだけにまとまった時間は作りにくいので、すき間時間を利用するのがポイントです」

 そのほか、寝かしつけの際には読もうとしても結果的に読めないことも多いので、最初から冊数としてあてにしない。用事などであまり読めない日があるとわかっていたら、たくさん読める日に前倒しで多めに読むことなどを挙げる。

「目標を設定し、読んだ回数を記録してみてください。育児は本当に大変なので、目標がないと、『疲れているから明日読もう』と、先送りしてしまい、読まない日が続くことになりがちです。目標を決めて、記録していけば、毎日頑張れると思います」

 目標の1万冊を達成したのは、長男の誕生日の前日。記念すべき1万1冊目は佐藤さんの夫が担当した。

「主人は『ママ~。何も変わらないよ』と不思議がりました。達成した途端に、長男に劇的な変化が訪れると思っていたみたいです(笑)。でも、1万冊の読み聞かせは、言葉や感性、優しさを育てることにつながったと思います」(庄村敦子)

週刊朝日 2017年10月13日号