眠くもないのに寝床に入ってストレスをためてしまうのは本末転倒。少しくらい夜更かしをして、夜の時間を楽しむほうが、睡眠にとっても、人生にとっても、ぐっと質を高めることとなる。

「布団に入っている時間を短くして、正味の睡眠時間との差を1時間程度にとどめることが重要です。起床時間から逆算して、その時間まで横になりたくても布団に入らないように我慢します。“寝るための工夫”から、“起きているための工夫”に切り替えましょう」(三島医師)

 例えば睡眠時間が6時間で、午前7時に起きるなら、布団に入るのは午前0時。それまではテレビや読書など何をしていても構わない。ただし、激しい運動や飲酒は控えよう。また、昼寝も夜の睡眠を妨げてしまうので、もし昼寝をするなら午前中など早い時間帯に、30分以内にとどめる。

 疲れや腰痛などでどうしても横になりたい場合は、ソファなどで横になり、布団には入らないようにしよう。はじめの1~2週間は退屈してしまっても、すぐに暇つぶしを見つけて順応していくケースが多いと三島医師は指摘する。

 では、どうしても深夜遅くまで眠れない体質、いわゆる「夜型」の人はどうすればよいのだろうか。

 夜型の人は、起きてから昼過ぎにかけてできるだけ明るい光を浴びることで、ある程度寝つきをよくすることもできる。

 逆に早く目覚めすぎる「朝型」の人は午前中の光を避けたほうがよい。ただし、「朝型」「夜型」は遺伝的な要因が大きい。

「若いころから『朝型』『夜型』が強い場合には、無理に矯正するのではなく、それぞれの体内時計に合わせて寝るとよいでしょう。そのほうが質、量ともに良い睡眠がとれます。自分や家族の生活スタイルにもよりますが、翌朝の時間に融通が利くなら、眠くなってから布団に入るほうが理想的です」(同)

 いわゆる規則正しい生活が、睡眠にとっても最も良いと思われがちだが、実際は自分の体内時計に合わせた睡眠が最も効果的で満足感の高いものになる。

 もちろん、こうしたスケジューリングだけで解消するものばかりではないが、眠れないからといって悩んで思いつめて、病院に行くよりも、まずは夜更かしを楽しんで、“ちょい遅寝”で睡眠の質を改善してみることから始めてみよう。

週刊朝日 2017年6月30日号