年齢とともに睡眠時間は短くなる(週刊朝日 2017年6月30日号より)
年齢とともに睡眠時間は短くなる(週刊朝日 2017年6月30日号より)

 タイガー・ウッズがツイッターで睡眠障害を告白、「専門家の助けを得て、腰のケガと睡眠障害の治療に取り組んでいる」と明かした。睡眠にまつわる悩みや誤解は多い。今月発売になった女性誌「Reライフマガジン ゆとりら夏号」から「なかなか寝つけない」「夜中に何度も目が覚める」といった、シニアに多い睡眠の悩みを解決する“新説”を紹介する。

 理想的な睡眠時間は、8時間というのが定説のようにいわれているが、それはせいぜい育ち盛りの中学生くらいまでの話。必要な睡眠時間は年齢とともに減っていく。一般的に、50代は7時間、60代だと6時間で十分だ。

 中にはそれを知らず、8時間寝られないからと不眠症を疑ったり、不調を訴えたりする人が少なくないようだ。しかし、実はこれが不眠症の始まりだと、国立精神・神経医療研究センターの三島和夫医師は言う。

「不眠は睡眠時間の長さや目覚め回数で判断するわけではなく、日中にイライラする、頭が冴えないといったように日常生活に支障が出れば不眠と判断されます。逆に年齢とともに睡眠時間が短くなったり、寝ている間に何度も目が覚める〝中途覚醒〟があったりしても、日中にとくに問題がなければ気にしすぎる必要はありません」

 不眠症状にとらわれがちな人は、8時間睡眠の理想にこだわり、悩み始めるという。

 しかし、高齢者にとって、睡眠時間が短くなってしまうのは老化のひとつで、自然現象でもある。

 まずは現在の自分の睡眠時間を正確に把握し、6時間なら6時間しっかり寝られるよう工夫していくことが重要だと三島医師は言い、睡眠日誌を付けることをすすめる。

 日誌と言っても構えることはない。何時に布団に入り、何時ごろ寝つき、何時に起きたのかを覚えている範囲でメモするだけ。

 これを2週間も続ければ、自分の正味の睡眠時間がわかってくるので、それをもとに睡眠スケジュールを立てていくとよいだろう。

 高齢者にありがちなのが、起きる時間は変わっていないのに、早く布団に入ってしまうというパターン。少しでも早く寝る態勢をという気持ちもわかるが、眠れないのに無理して布団の中にいると、「布団=眠れない」という思い込みが強化され、かえって眠れなくなってしまいかねない。

 年齢とともに、寝床にいる時間は長くなる。高齢者になればなるほど、寝床に入る時間も早くなりがちだが、睡眠時間は平均6時間程度なので、必然的に夜明けごろに目が覚めてしまう。

次のページ