3月の自民党党大会で総裁任期延長を決定し、安泰のはずの安倍政権がグラついた。昭恵首相夫人が名誉校長を務め、一時は「安倍晋三記念小学校」という名称で寄付金集めをしていた学校法人森友学園への国有地払い下げ問題に火がついたのだ。野党の追及に安倍首相は動揺を隠せず、「私と妻を侮辱した」と逆切れ。本誌も徹底追及する。
問題の森友学園が運営する塚本幼稚園(大阪市淀川区)は、園児に教育勅語を暗唱させるなど独特な「愛国教育」で知られる。昭恵氏は2014年12月、塚本幼稚園を訪れ講演。安倍首相の国会答弁などによると、この時、聴衆の前で今春、豊中市で開校予定の小学校の名誉校長就任を求められ、断りきれなかったという(すでに辞任)。その場にいた保護者は「籠池理事長が名誉校長をお願いしたら、いやと言いつつうれしそうでした」と語る。15年9月にも講演し「こちらの教育方針は大変、主人も素晴らしいと思っている」などと語ったという。
それだけでなく、実は12年9月には、安倍氏自身も講演に訪れる予定があったという。園内紙に掲載された保護者投書にこうある。
〈二年前の親学教育講演会終了後のアナウンスで、塚本幼稚園の講堂に驚きの喚声が上がったのを思い出す。当時における元内閣総理大臣安倍晋三先生を講師として招聘するとのこと。幼稚園に元総理大臣がやってくることに自分自身も驚愕し、「塚本幼稚園」って何か違う、すごい幼稚園だと強く印象を受けた>(15年3月発行)
当時の園の説明によれば、安倍氏が同年9月の自民党総裁選に出馬した関係で講演はキャンセルされたという。首相は先の国会答弁で、森友学園の籠池泰典理事長に直接、断りの電話を入れたが、面識はないと説明した。本誌の取材に対し、籠池理事長は安倍夫妻との関係についてこう話している。
「5年ぐらい前にPTAの紹介で知り合った。首相になられる前で昭恵夫人と先に知り合って小学校の見学に来てもらい、住吉大社にもご一緒させていただいた。総裁選に出られなければ、安倍晋三記念小学校になっていたかもしれない」