地域住民の健康を支える検診車 (c)朝日新聞社
地域住民の健康を支える検診車 (c)朝日新聞社

 胃がんの対策ができている都道府県ナンバーワンは鹿児島、肺がんは長野、大腸がんは宮城。一方で肺がん、乳がん、子宮頸がんで最も対策が遅れているのは北海道──。これは本誌が47都道府県のデータを分析し、独自に算出したがん対策ランキングだ。あなたの地元の結果は?

 専門家の指導の下、本誌がなぜ、47都道府県のがん対策ランキングを算出したのか。まず、この経緯から説明したい。

 きっかけは今秋、高市早苗総務相から塩崎恭久厚生労働相に出された「がん対策に関する行政評価・監視結果に基づく勧告」の結果報告書だ。

 日本では2007年に「がん対策基本法」が施行、それを受けて「がん対策推進基本計画(基本計画)」が作られている。

 このがん対策に対し、総務省が出した勧告の一つが、「がんの早期発見のための取り組みの推進」。つまるところ、「がん検診」をもっとしっかりやってよ、と厚労省に訴えたわけだ。

 勧告に先駆けて行われた総務省の調査では、17都道府県52市区のがん検診の取り組み状況をチェック。すると、がん検診の受診率向上で欠かせない、住民に受診を呼びかける「個別受診勧奨(コール)」や「再勧奨(リコール)」が徹底されていない地域や、正しいがん検診を実施するための精度管理ができていない地域などがあることがわかった。

「例えば、北海道のある医療機関では、胃がん検診を受けた人のなかで再検査が必要な『要精密検査(精検)率』が30%台でした。通常は11%以下なので、再検査の不要な住民にまで精検を受けさせている可能性がありました」(総務省行政評価局評価監視官)

 さらに、がん検診の受診率を算定する計算方法も、都道府県や市区町村でまちまちであることも判明した。

 そこで本誌では、がん政策ウォッチャーでNPO法人がん政策サミット理事長の埴岡健一氏(国際医療福祉大学大学院教授)の助言のもと、がん早期発見・早期治療の要であるがん検診の地域格差の実態をつかむべく、独自の調査と分析を試みた。

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