春風亭一之輔“落ち葉だけど枯れていない”イチョウの葉を見て… (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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春風亭一之輔“落ち葉だけど枯れていない”イチョウの葉を見て…

連載「ああ、それ私よく知ってます。」

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春風亭一之輔“落ち葉だけど枯れていない”イチョウの葉を見て…(※写真はイメージ)

春風亭一之輔“落ち葉だけど枯れていない”イチョウの葉を見て…(※写真はイメージ)

 落語家・春風亭一之輔氏が週刊朝日で連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今週のお題は、「枯れ葉」。

*  *  *
今回は地味なお題だな……と思案しているうちに1週間が経ってしまった。

 ここのところ、3夜連続の独演会などで本業が忙しかった。

 新幹線での移動中はいつも原稿を書く時間にあてているのだが、最近は落語に追い立てられ稽古に没入してしまい、つい原稿がおろそかに。いや、それが正しい落語家の在り方なんだけど。いつもが本末転倒なのだ。

 稽古は散歩しながらが一番いい。録音した師匠の噺をイヤホンで聴きながら、かぶせるようにカラオケみたいにブツブツ唱えながら町中を歩き回る。

 歩くペースが落語の語りのリズムに合って、頭にスーッと入って覚えやすい。散歩中はギャグが思い浮かぶ率も高い。

「いいの浮かんだ!」と思ったら、立ち止まってすぐにメモをとる。ニヤニヤ薄笑いを浮かべながら、また歩き始める。

 熱が入ると、右を向いたり、左を向いたり、指さししたり、泣きそうな顔をして歯を食いしばったり、怒り顔で中空を見つめたり……はたから見たら不審者だが、当人は一生懸命だ。

 近所の大きなイチョウの木がある公園。朝、真っ黄色のかたまりが風に煽られて震えている。葉っぱが舞い降りて、ちょっと異空間の趣。

 早朝は近所のじいちゃんばあちゃんが太極拳をしている。黄色いトルネードの中心でゆっくりと規則的に動くお年寄りたち。端で見ていると、狐か狸に化かされているかのようだ。

 故障した人工衛星のように、自由に適当に『落語衛星』はさまよう。

 近所の高校の周りをグルグルグル。部活の早朝練習を眺めつつ、ブツブツブツ。女子テニス部の前で立ち止まると通報されそうなので、野球部のノックを横目にブツブツ。


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