プロゴルファーの丸山茂樹氏が、タイガー・ウッズ、池田勇太、そしてサッカー日本代表について語る。

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 10月13日に、米PGAツアーの2016−17年シーズンが開幕しました。ただ、開幕戦での復帰を表明していたタイガー・ウッズ(40)は結局ドタキャン。12月の復帰を目指すみたいです。

 出ないと聞いて、そりゃそうだよなと思いました。その2週間前の米欧対抗戦「ライダーカップ」でアメリカ選抜の副キャプテンやってましたもんね。副キャプテンってのはプレーしませんから。それで2週間後に復帰なんて大丈夫かなと思ってたら、案の定でした。

 タイガーは去年8月の「ウィンダム選手権」のあと、腰のけがを理由に戦線離脱しました。15−16年シーズンは出場ゼロ。16年は初めて4大メジャーすべてを欠場しました。

 もっとゆっくりでいいと思いますよ。生涯シード権を持ってるんだから、何も焦る必要なんてない。腰が完治してからでいいんじゃないですか?

 本人が「体の調子も精神状態もいいけど、ゴルフの状態はまだ隙だらけ」と話してますけど、思うように球がとらえられないんでしょう。今年8月にナイキがゴルフ部門からの撤退を発表しましたから、ずっとナイキを使っていたタイガーは、クラブに関しても、まだ落ち着いてないんだと思います。腰を治して、クラブが決まって、ボールも決まってからでいいと思います。

 日本では池田勇太(30)が珍しいパターンでツアー15勝目を挙げました。「本間ツアーワールド・カップ」(10月6~10日、茨城・石岡GC)です。

 勇太は韓国の宋永漢(25)と通算14アンダーで並んでプレーオフに突入したんですけど、お互いにパーを4ホール続けたところで日没サスペンデッド。1999年に日本ゴルフツアー機構(JGTO)ができて以降、プレーオフの決着がつかずに翌日に持ち越されるのは初めてでした。僕だって経験ないですよ。

 翌日はプレーオフ5ホール目から始まって、計9ホール目で決着しました。勇太はこのところ、最後に我慢できずに2位というのが続いてたんで、ほんとによかったなと思います。勇太はほとんどの試合でそういうポジションにいますから、立派ですよね。

 
 プロになってから毎年優勝を積み重ねて15勝目。日本を中心にやってるわけですから、早く賞金王になって、日本で不動の力をつけてほしいです。その中で海外メジャーの招待をもらったら、そこで頑張って。勇太はそういうパターンで頑張っていくんでしょうからね。

 さて話は変わりまして、サッカーの2018年ロシア・ワールドカップ予選が盛り上がってますね。アジア最終予選を戦ってる日本は10月11日にアウェーでオーストラリアと戦って、1−1のドロー。4戦して2勝1敗1分けになってます。予選のしょっぱなで負けたもんだから、ハリルホジッチ監督(64)の解任論が出たりして。大騒ぎですよ。まだ全然巻き返せるのにね。

 ワールドカップには98年のフランス大会からずっと出てるから、ファンの方にとっては、いまや出られないってことは大事件なんですよね。ちょっと驚いたんですけど、日本のFIFAランキングは50位台。やっぱり出場チーム数の32位以内に入ってないと、ファンをハラハラさせずに本戦へは行けないのかな。

週刊朝日  2016年10月28日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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