ネスレ日本の冠主催によるゴルフトーナメントが北海道で開催された。プロゴルファーの丸山茂樹氏は、ネスレ日本が優勝賞金に込めた思いをこういう。

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 日に日に秋らしくなってきましたね。僕は北海道に入ってます。

「片山晋呉インビテーショナル ネスレ日本マッチプレー選手権レクサス杯」(9月11~13日、恵庭CC)でテレビ解説のお仕事をしたあと、「ANAオープン」(9月17~20日、札幌GC輪厚[わっつ]コース)に出場。ANAオープンに関しては残念ながら締め切りの関係で、来週号でお伝えしますね。

 マッチプレー選手権には、米PGAツアーで来シーズンのシード権を確保した石川遼(24)が出ましたが、1回戦負けでした。オールスクエア(同点)で迎えた18番パー4で、遼はティーショットをドライバーで打って右の林へ入れて、ジ・エンドでした。

「あそこはドライバーじゃないでしょ」って遼に聞くと、「もう何で打っても曲がりそうな気がしたんで」と言ってました。あんまり状態がよくなかったんですね。しょうがないです、こればっかりは。

 遼に勝って話題になったのが、プロ1年目の堀川未来夢(みくむ・22)。僕の日大の後輩なんです。今年の春に卒業したあとも、日大ゴルフ部のコーチとして静岡の寮に残って、一緒にトレーニングをしてるんですって。

 いやあ、なかなか運がありますよね。石川遼と当たって勝ったからこそ、マスコミで取り上げられたわけで。こういう運は、プロとして大事だと思いますよ。いい体格してて、飛距離は出る。あとは経験ですね。

 目標の選手に僕の名前を挙げてくれてるみたいですね。うれしいじゃないですか。たぶん、海外志向があるからでしょうね。今度機会があったら、彼と一度ゆっくり、話したいですね。

 ホストプロの片山晋呉(42)は準優勝でした。最終日は1日で準決勝、決勝というスケジュールでしたからね。晋呉は「最後はもう、歩くのがやっとでした」って。いいトシだし、ホストプロってことで、あちこちに気を使って、疲れちゃったのもあるでしょう。自分の名前が冠になっちゃってますから、これはもう、避けられない責任なんです。

 
 この試合はネスレ日本の高岡浩三社長(55)が「国内最高の優勝賞金」にこだわって、去年から始めました。日本の選手だけの試合で、去年は5千万円、今年は7千万円、来年は1億円にするそうです。優勝した選手が賞金を元手に海外へ出て行くのを奨励しています。外国勢が出られないから、男子ツアーを運営する日本ゴルフツアー機構(JGTO)は「ツアーにはなじまない」という立場をとってまして、ツアーの枠外で開催されています。

 高岡社長と話をさせてもらったこともあって、日本のプロゴルファーのことを大事に考えてやってくださってると理解してます。僕は協力的な姿勢でやっていこうと思います。

 最後に来シーズンの米ツアー出場権をかけた入れ替え戦に臨んでいる岩田寛(34)です。4試合の長丁場なんですけど、初戦の「ホテルフィットネス選手権」(9月10~13日、米インディアナ州シカモアヒルズGC)でいきなり4位に入り、出場権獲得へ大きく近づきました。やりましたね。ヒロシの夢が、かないつつあります。

週刊朝日  2015年10月2日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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