夫:SNSができて連絡がとりやすくなったのが大きいね。それまでは漫画家は出版社の専属で囲われていたんだけど、ツイッターなどで連絡とりあうようになって垣根がなくなった。毎年ギャラリーを借りて、手作りのTシャツの展示即売イベントを続けているんですよ。

妻:夏休みの宿題みたいに、前の晩になるとタグをつけたりするのを手伝わされるんですよ。「なんでいつも計画的にやらないの!」と言うんだけど(笑)。

――妻は年に数冊のレシピ本を作る。夫はそれがうらやましかったりする。

夫:女房が手がけた本はみんな増刷になるんだよね。おれの本なんかと比べものにならないくらい売れる。

妻:こうやったら販路が広がるんじゃないとアドバイスはするんですが、ぜんぜん聞かないから。わたしの作る本は「おいしそうに見えるのはどっちの表紙?」とか相談するんだけど。

夫:自分の本は自分の好きなように作りたいから、ひとの意見は聞かない(笑)。女房がすごいのはね、レシピ本を作る際に、ぜんぶの料理を1回うちで試しにつくるんですよ。

妻:校正刷りを見ながら手順を追ってつくるんです。例えば「ここでボウルから移す」というプロセスが抜けていてわかりにくいとか、実際につくってみると気づくんですよね。

夫:妥協がない。徹底していて、ベトナム料理が何日も続いたりする。うまいからいいんだけど(笑)。

週刊朝日  2015年5月22日号より抜粋