日本人の平均寿命は世界トップクラス。しかし介護がいらない「健康寿命」は、約10年マイナスして考えねばならない。いつまでも元気でいるためには、どんな毎日を過ごせばいいのか。

 厚生労働省によると、65歳以上で要介護者(歩行や身の回りのことが一人でできなかったり、認知症などにより介助が必要とされた人)の数は390万人以上。一歩手前の要支援者を含めると530万人以上に膨れ上がる。では、なぜ人は介護が必要になるのか。

 寝たきりになる主な原因としては、男性は「脳血管疾患」が一番多い。「脳血管疾患」とは脳内出血や脳梗塞などで、脳の血管に異常が起きると体が思うように動かせなくなったり、さまざまな障害のせいで寝たきりになりやすい。女性は「認知症」が多く、閉経後の骨粗鬆症から、骨折による寝たきりにつながっていく。

 脳卒中や認知症は、食事の改善や脳と体の運動で発症のリスクをかなり抑えられる。となると、男女ともに要介護原因の4位である「関節疾患」や5位の「骨折・転倒」はどう防げばいいか。

 高齢になると、ふだん動かさない部位が衰える「廃用症候群」を起こしやすい。骨や関節、筋肉などの機能が低下して、寝たきりになった状態を「運動器症候群(ロコモティブシンドローム=ロコモ)と呼ぶが、メタボと同様、中高年から急増する。下記の「7つのロコモチェック」で一つでも当てはまればロコモの疑いがある。体を動かしたり、家事や住環境に気をつけたりするほか、目や耳や歯も念入りに手入れすれば、寝たきりを招きにくい。最期まで自立した人生を送るため、体や住まいのケアが必要だ。

 以下、ロコモのチェック項目を作成した。一つでもあてはまるとロコモの疑いありだ。

【7つのロコモチェック】
□ 片足立ちで靴下をはくとよろける
□ 家の中で滑ったり、つまずいたりすることが増えた
□ 階段を上るのに手すりが必要
□ 横断歩道を青信号で渡り切れない
□ 15分以上歩くと、やたらに疲れる
□ 2キロ程度の買い物をして持ち帰るのが困難
□ 掃除機の使用や布団の上げ下ろしなどが困難

週刊朝日 2013年5月17日号