深紅の大優勝旗をめざして熱い戦いを繰り広げてきた高校球児が、今度は「日の丸」を背負って世界一に突き進む。

「ドリームチーム」は春夏の甲子園を沸かせた高校生20選手で結成された。8月30日に韓国・ソウルで開幕した18歳以下の世界野球選手権大会に出場し、初戦となった31日のカナダ戦こそ延長10回、5-6でサヨナラ負けを喫したが、分厚い選手層で巻き返しが期待される。

 目玉は「高校ビッグ3」の異名をとる大阪桐蔭・藤浪晋太郎、愛工大名電・浜田達郎、花巻東・大谷翔平の3投手だ。球を受ける大阪桐蔭の捕手・森友哉も、「めっちゃ左手が痛いっす。投手陣は最強ちゃいますか。みんなレベルちゃいます。プロみたい」。

 その言葉通り、26日の関大との練習試合には国内外のプロ球団からスカウトがずらり。

 夏の甲子園出場こそならなかったが、「プロ即戦力」との呼び声も高い大谷は、この試合で先発として3回を2安打無失点に封じ込めた。193センチの長身から投げ込む、最速149キロのストレートで大学生を手玉に取った。

「今はこの大会にぶつけることしか考えていない」と、謙虚に話すが、その完成度でスカウト陣を「これは本物」とうならせた。

 夏の甲子園で4試合を完投、自責点はわずかに2点という優勝投手・藤浪は、「どの球団でもプロにいきたい」。

 甲子園の決勝から中1日で、早くも代表のブルペンに入ったが、「もともと投げて調子を整えるタイプ。逆に、休むとよくない」。

 日本代表としては、この大会への出場は2004年に続いて2回目となる。リーグ戦形式で、カナダ、台湾、パナマ、イタリア、チェコと第1ラウンドを戦う。決勝は9月8日。

※週刊朝日 2012年9月14日号