情報隠蔽国家 周知のとおり、3月2日の朝日新聞のスクープをきっかけに、財務省による森友学園の土地取得に関する公文書改竄が明らかになった。驚いた。と同時に、やっぱりな、と納得してしまった。私がずいぶん前から感じていた思いは青木理の新刊タイトル──『情報隠蔽国家』となっていた。 ベストセラー解読 4/10 週刊朝日
なぜ世界は存在しないのか ポストモダン思想は強力だった。いや、過去形ではなく、現代もわれわれはその影響下にある。典型的なのは、絶対的な価値など存在しないという相対主義だろう。それが俗化すると、安倍政権への支持者も反対者もどっちもどっち、といった冷笑的態度になる。絶対的に正しいことなんてありはしない、と。 ベストセラー解読 4/4 週刊朝日
妻に捧げた1778話 人気テレビ番組の「アメトーーク!」には、“読書芸人”という企画があり、芥川賞作家になる前の又吉直樹など本好きの芸人がそれぞれの推薦本を紹介してきた。そこで取りあげられた本は確実に売り上げを伸ばすとあって、書店も放送後に店頭の陳列を変えるほど影響力をもっている。 ベストセラー解読 3/28 週刊朝日
それまでの明日 毎月のように新刊を出す作家がいる一方で、数年に1作という寡作作家もいる。原尞の場合は、デビューから30年の間に長編4作、短編集1冊、エッセイ集2冊。5作目の長編が『それまでの明日』だ。前作『愚か者死すべし』から14年ぶりとなる。ネット書店のコメント欄は、新作発売を言祝ぐファンでいっぱいだ。 ベストセラー解読 3/22 週刊朝日
保守の真髄 老酔狂で語る文明の紊乱 西部邁は1月21日、多摩川で入水自殺した。その1カ月ほど前に刊行された『保守の真髄』のあとがきを読むと、当初は、10月22日に決行する予定だったとわかる。その日が衆議院選挙の投票日となったため、迷惑の最小化を考えて延期したようだが、西部が自身の死を見すえてこの本を著したことは確かだ。 ベストセラー解読 3/14 週刊朝日
百年泥 芥川賞を受賞した石井遊佳『百年泥』の語り部は、多重債務返済のため、南インドのチェンナイで日本語教師として働く女性。彼女が現地に暮らしてほどなく100年に一度の洪水が襲い、アダイヤール川が氾濫して川底にあった100年分の泥が流出する。 ベストセラー解読 2/28 週刊朝日
近代日本一五〇年 石牟礼道子さんが亡くなった。ノーベル文学賞には彼女こそふさわしいと考えていたので残念だ。そんな思いを抱えて、『近代日本一五〇年』を読む。石牟礼さんが『苦海浄土』で描いた水俣病は、近代日本を象徴する事件なのだと痛感する。 ベストセラー解読 2/21 週刊朝日
銀河鉄道の父 先月、直木賞に決まった門井慶喜『銀河鉄道の父』は、タイトルから連想できるとおり、宮沢賢治の父、政次郎(まさじろう)を主人公とした長篇小説だ。一人の男子がいかにして「宮沢賢治」となったか、その父の目を通して描かれる。 ベストセラー解読 2/14 週刊朝日
アースダイバー 東京の聖地 中沢新一が提唱する「アースダイバー」は、縄文期(地質学では「第四紀」)の地図を現代の東京や大阪に重ねることで、古代からの地勢がそれぞれの街の成立にいかに深く関わっているか明らかにしてきた。 ベストセラー解読 1/31 週刊朝日
広辞苑 第七版 『広辞苑』が10年ぶりに大改訂された。新たに収録した項目は1万で、総項目は25万となった。ページ数も140ページ増えた。しかし本の厚みは第六版と同じというから驚く。だが進化したのは製紙技術、印刷・製本技術だけじゃない。 ベストセラー解読 1/24 週刊朝日
アベノミクスによろしく モリ・カケとか改憲とかいろいろ問題は多いけれども、経済政策はうまくいっているから。選挙で自民党に投票した人の多くは、そんな気分なのだろう。しかし、景気が回復しているという実感はない。 ベストセラー解読 1/10 週刊朝日
遺言。 いきなりで恐縮だが、私なりに昨年の自分と今日の自分をくらべると、感覚としては少し老けたと感じる。視覚的にも体力的にも、そう違いを実感する。しかし、意識としては、同じ私である──こんなことを確かめてしまったのは、ヒトの「感覚」と「意識」の関わりについて書かれた養老孟司の新刊、『遺言。』を読んだからだ。 ベストセラー解読 12/20 週刊朝日
不死身の特攻兵 12月8日は日米開戦があった日。沖縄をはじめ全国に米軍の基地や施設があり、不平等な日米地位協定や航空管制など、“戦後”はまだ続いている。76年前に無謀な戦争をしなければ、そして、その前に愚劣な中国侵略を始めていなければ、こんなことにはならなかっただろうに。 ベストセラー解読 12/14 週刊朝日
詩人なんて呼ばれて 日本でもっとも有名な生きている詩人は誰かと問えば、ほとんどの人が「谷川俊太郎」と答えるだろう。1950年のデビューから現在までに書かれた2500作もの谷川の詩篇は、人それぞれに思いだす作品は違っても、日本人の喜怒哀楽に寄りそってきた。 ベストセラー解読 12/6 週刊朝日
さよなら、田中さん 藤井聡太ブームが続いている。14歳2カ月という史上最年少でプロ棋士になり、デビューから無敗のまま29連勝。そのなかには62歳6カ月年上の加藤一二三との対局も含まれる。駒の並べ方すら知らない人まで藤井に熱狂し、将棋ファンも増えている。 ベストセラー解読 11/29 週刊朝日