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やせて、太って、日が暮れて… つまづいたっていいじゃないか、ダイエット落涙史
やせて、太って、日が暮れて… つまづいたっていいじゃないか、ダイエット落涙史 ダイエットを成功させるためには、何が重要なのか(撮影/写真部・堀内憲太郎)  今日も元気だ、ビールがうまい。だけど気になる腹の肉。「◯◯さんがやせたって」。職場の噂が気にかかる。去年も言った気がするが、正月前に今年も言おう。「来年こそ、やせる!」(きっぱり)。「あなたの肥満はアレルギー?」「満腹中枢を手なずけろ!」「ブル中野さんが60キロやせたワケ」――本気でやせるコツを、AERAが真面目に大特集。  さまざまなダイエットを試したけど、結局挫折した……そんな人も少なくないだろう。ダイエットを成功に導くためには、いったい何が必要なのか。アンケート調査によってみえてきたダイエットに成功するためのポイントを紹介する。 *  *  *  今回、「アエラネット」などで投げかけたダイエットに関するアンケートに、詳しく答えてくれたのは74人。うち69人が「ダイエットをしたことがある」と答えた。  そのなかで「ダイエットに成功したことがある」のは62人。9割弱の人が、何かしらの成果は上げている。一方、失敗経験がある人も6割強。失敗を糧にして、成功にたどりついていく人の姿が見えてくる。  学生時代、サッカーをしていたという男性(56歳)は30代半ばから20年ほどで20キロ以上体重が増えた。医師からメタボリックシンドロームを指摘され改善指導も受けたが、なかなか効果が見られないまま、ついに体重は85キロに。 「昔はどんぶり飯を何杯もおかわりするような食事をしていても、練習がハードで太らなかったんです。社会人になって運動量が激減したのに、食生活を変えられなくて」 ●部活をやめたあとに…  この「昔スポーツをやっていて、社会人になって太った」というのが、ダイエットに取り組む人たちの典型的な一群だ。  静岡県在住の男性(35歳)は、陸上やテニスに打ち込んだ学生時代は175センチ、65キロ。だが卒業後、教諭の仕事が忙しく、不規則な生活のためか30歳を前に6キロ増。「ヤバいと思いました」  当時、自宅近くにジムができたので入会した。マシンのランニングなどで体が引き締まってくると楽しくなり、週4で通うほどハマった。結果、半年でもとの体重まで戻し、ミニ駅伝にも出場。だが、ジムが閉鎖して運動から遠ざかると、1年でまた5キロ太った。  いまは、副顧問をしている部活動で生徒たちと走ったり、意識して体を動かしたりしているが、目標体重までの「あと3キロ」が戻らない。 「酵素系ジュースとか、サプリなんかも飲んだんですけど、全く効かなかった。結局、運動しないとダメなんですよね」  2017年2月の東京マラソンの一般エントリーに応募したところ、見事当選。ところが、 「これで本気出して走るぞ!」と思った矢先、「友人の結婚式と重なってしまったんですよ。なんか、ヘナヘナヘナ~って(笑)」。  運がいいんだか、ついてないんだか。  回答を見ると、成功経験のある人、現在も理想体重が維持できているという人は、食事制限に加えて、なんらかの運動を生活に取り入れている。  現在もダイエット中で、週に2回のジム通いとジョギングを続けている女性(47歳)は、 「食べるのを我慢するダイエットは向いてない。心が荒むんです(笑)。冷え性の悩みもあるので、運動で基礎代謝を上げようとがんばっています」 ●「楽しい」がポイント  子育てが一段落して、自分の時間が作りやすくなったのも、ダイエットのきっかけになった。 「子どもが高校生ぐらいまでは食事やら身の回りの世話を焼いて、寝るのはどうしても0時過ぎ。でも、母親業から解放されつつあるので、仕事から帰ったら夕飯を作り、夫婦で食べて早く寝られる。早起きしてジョギングの時間も確保できます」  なにかと忙しい現役世代が、あれこれと運動を試している姿には頭が下がる。 「食後に30分から1時間のウォーキング。無理なく続けられます。食後に歩くことで血糖値の上昇が抑えられ、5月から半年ほどで、服がゆるくなってきました」(39歳・男性) 「普通のウォーキングよりも効果的といわれている後ろ歩きを。朝8時ごろと夕方5時ごろ、1回20~30分。屋外だと危ないのと恥ずかしいのとで、10メートル弱の廊下を何往復もして、毎回1キロぐらい」(55歳・女性)  運動はしばらく遠ざかっていると、かなりハードルが高いもの。続ける一番のポイントは「楽しむこと」のようだ。 「生活が不規則なので、家の中でできることを考えて、Wii Fitを購入。毎日、15分から30分。本気でやると、これでも汗だくになります」(47歳・男性)  ゲームという手があったか。 「初めはダイエット目的で通い始めたスポーツジムでしたが、友達もできて、ジム通いそのものが目的に」(34歳・女性)  ジム婚なんかもあるらしい。  回答に目立ったのは「とにかく食事を我慢するのはつらい」という本音だった。 「穀物なしダイエットを試みたが、おなかが減ってしまって仕事にならなかった」(45歳・男性) 「お昼だけは、好きなだけ食べると決めた。そうしたら『今しかない!』と思って食べ過ぎるように」(50代・女性) 「食事を我慢したら、体力が落ちて生活上困る。40歳過ぎると、肌もカサカサになって貧弱に見えてしまう」(46歳・女性)  微妙な年代ならではの声だ。 「食事を我慢しているときに限って、家族がケーキを買ってくる」(46歳・女性)  それは、ご家族が悪いんでしょうか……。 ●今までの生活恐ろしい  もちろん食事制限で成果を上げる人もいる。冒頭の56歳の男性は、一念発起、半年間で20キロの減量に成功。ダイエット開始に際し、まずしたのは、自分の適正体重と、どんな食事をとるべきかを調べることだった。 「それまで小刻みな目標設定は、比較的簡単に達成できる分、満足したとたんにリバウンドしていたので」  BMI値(体格指数)から適正体重を63.9キロと算出、その体格の成人男性の必要栄養摂取量を毎日の生活で取ろうと心がけた。厳しい制限ばかりでは続かないので、1日の総カロリーから逆算して「あと120キロカロリー余裕がある!」とわかったら「アイスを1個だけ」など、楽しみもつくったという。 「最初は確かに面倒です。でも、やればやるほど、好きなように食べていた今までの食生活が恐ろしくなる。ちょっと食べただけですぐ1千キロカロリー超えるんですから」  悲喜こもごもを見ていると、ダイエットの成否には、身近な家族や友人との関係も影響していることがわかってくる。 「昨年、朝食・昼食をしっかり取って夕食は豆腐サラダや魚介類と玉ネギのサラダなどで軽く済ませる方法で8キロやせたのに、独居になった寂しさから間食が増えて挫折」(66歳・女性)  なんていうちょっと切ない話がある一方、 「78キロあった体重が、結婚して半年で15キロ減。結婚相手が小食な人だったことと、私の実家は何にでも砂糖をどっぷり入れていたのを改善したため」(54歳・女性)  という人も。 ●家族の協力で成功  ダイエットが高じて拒食症にまで至ってしまった経験を持つ29歳の女性は、 「身長157センチ。一番やせていたときは32キロまでいった。生理は止まるし、硬い椅子に長時間座っただけで、お尻にあざができた」  精神的に不安定になり、親子関係もぎくしゃくしたという。  それでも、自分が病的にやせているとは思わず、結局、家族に連れられて心療内科へ。 「体を壊して、健康について考えるようになりました」  今は、バランスのよい食事を心がけ、49キロ前後を保ち、定期的に運動もしているという。  家族の協力でダイエットを成功させた、という人は多い。 「糖尿病と脂肪肝が深刻になって、栄養指導の先生がついた。だが、話を聞けば聞くほど、長年、女房に言われ続けたことと一緒だった」(47歳・男性)  妻の進言は箴言である。 「結婚して、妻の作る手料理を残したくない、というのも、肥満が始まる一因でした。カロリー制限を始めたときは妻にも理解してもらい、一緒にダイエットに挑戦。妻も、理想体重を実現しました」(56歳・男性)  ごちそうさまでした。  回答を読み解くと浮き彫りになるのは、ダイエットをしている人は前向きだ、ということだ。今よりももっと、向上したい。そんな気持ちは、やっぱり尊い。つまずいたっていいじゃないか、ダイエットだもの。 ※AERA 2016年12月26日号

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