保育行政は待機児童対策に突き進み、子どもの権利や教育が置き去りにされたと、怒りを込めつつ告発する鼎談。

 ジャーナリストで研究者の猪は豊富な知見で、有資格の保育士がいない保育所が認可され、自治体が関与できない保育所に800億円の予算がつくなどの実態を報告。

 英国で保育士をしつつ、同国の「地べたから」の政治への異議申し立てをレポートしてきたブレイディは、日本での、子どもに対する保育士の数の少なさに驚く。英国で、貧富の差で起きる発育の差の解消に向け、練り上げられた幼児教育改革を紹介する。

 国内外で子育てを経験した気鋭の哲学者、國分は、日本は19世紀化していると指摘、声をあげていいという気づき=観念が力になると語る。
 子どもを育てない国に未来はあるのか。

週刊朝日  2017年9月1日号