以前、東京の友達と子連れでディズニーランドに行ったとき、駅に階段しかなくてベビーカーの移動に困ったり、エレベーターがあっても満員で何度か見送らないと乗れなかったりして、小さなことの積み重ねで都会での子育ては大変なんだなと感じました。それで子どもが不機嫌になってしまうのももったいないですしね。

――シングルで子育てしている人たちにとっても、家族のサポートを受けながらのびのびと過ごせているスザンヌさんの暮らしは憧れかもしれません。

 私は芸能の仕事をしているのでちょっと特殊かもしれませんが、みんなそれぞれの場所で精一杯やりながら、ハッピーなことも大変なことも日々あると思います。もちろん私もそうだし、自分の人生が素晴らしいと言うつもりもありませんが、一つのチョイスとして田舎暮らしや実家の近くに住むのも良いことがたくさんあるよということは伝えたいなと思います。

 実は今、実家と同じマンションの別の部屋に住んでいて、料理も熱いまま持って帰れるし、やっぱり実家に近いのが一番なんですよ!(笑) 特に、本は3年前に地震があったので、家族が近くにいてくれるだけで安心。その安心感のせいか同じマンションに引っ越してからは親と会う回数が減っているんですよね。以前は、孫の顔を見せなきゃとか、無意識に頑張っていたのかもしれない。

(撮影/写真部・小山幸佑)
(撮影/写真部・小山幸佑)

 それに熊本の人はシングルマザーにすごく優しいので、オススメですよ。シングルで私たち姉妹を育てた母も「昔からそうだった」と言っていますし、ひとり親世帯にはいろんな助成や手当やケアがあって、本当に住みやすいと思います。

――逆に、地方のデメリットを感じることもありますか。

 良くも悪くもですが、選択肢が少ないですね。習い事一つを取っても、東京にはお勉強系も、感性を磨くようなアーティスティックなものも何でもある。仕事の幅もそうで、多少グレたり勉強が苦手だったりして王道のルートを外れたとしても、クリエイティブな道に進むという選択肢が都会にはあると思うんです。でも、地方だと子どもたちがそういう人に出会う環境が少なく、選択肢の中にあまり入っていないのかなと感じます。

 住む場所はどうであれ、息子には、私がそうだったように、自分の夢のきっかけになるような人に出会ってほしいなと思っています。今は心配になるぐらい甘えん坊ですが、できるだけいろんな世界を見せてあげて、自分がやりたいことが出てきたら全力で応援したいと思っています。

(聞き手/AERA dot.編集部・金城珠代)