モラル・ハラスメント(モラハラ)とは、精神的な嫌がらせやいじめで相手の尊厳を傷つける言動を指し、精神的DVといわれることもある。職場だけでなく夫婦やパートナーなど家庭内で起こることも多い。そして、自身も無自覚にモラハラをしている可能性は否定できない。しかし、どんな行為がモラハラに該当するのだろうか? ハラスメント対策専門家・山藤祐子さん監修の書籍『トラブル回避のために知っておきたい ハラスメント言いかえ事典』(朝日新聞出版)から、モラハラや相手を不快にするかもしれない要注意フレーズを紹介する。
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■「(パートナーの失敗に対して)こんなこともできないなんて、能なしだね」はNG
パートナーがこちらの頼んだことをつい忘れたり、うっかり物を壊してしまったり、日常生活でこうした失敗はよくあるものです。
その際、つい感情に任せて相手を責めれば、それが暴言となって、パートナーを傷つけることになります。職場と異なり、日常生活の場では法的に規制のあるハラスメントはありませんが、この事例は態度や言動で相手を苦しめるモラハラに該当します。
また、相手に対して「能なし」「役立たず」といった発言をすれば、刑法の侮辱罪になる可能性もあります。ちなみに侮辱罪とは「事実を示さないで公然と人を貶おとしめる、侮辱する行為」を問うものです。
「公然と」とあるように、お店やホームパーティー、SNS での公開など、あくまで人前での言動が対象になります。「イライラさせられる」「自分でどうにかしろ」も言われた側は不快になるでしょう。
ミスは誰にでもあります。「どうした、大丈夫!? 体調でも悪いのかな?」と、ひと呼吸おいて、いたわりの言葉をかけたいものです。
■「(夫婦で意見が合わない時)なんでこれをわかってくれないの!? おかしいよ!」は要注意
たとえ夫婦でも育ってきた環境が違うので、お互いがもつ「スタンダード(自分の基準)」は異なります。