過敏性腸症候群(IBS)の食事のポイント
過敏性腸症候群(IBS)の食事のポイント

「オーストラリアの研究で、『低FODMAP(フォドマップ)食』がIBSの症状を軽減させる効果があることが発表されています」

 FODMAPとは、小腸で吸収されにくく、下痢を引き起こしやすい要素の頭文字だ。これらの要素を減らした食事を低FODMAP食という。

「具体的な方法はインターネットなどにも紹介されていますが、主治医にも相談しながら取り入れることをおすすめします。厳格に食事制限をやりすぎると栄養の偏りが生じるので、十分注意する必要があります」(金子医師)

 服薬や生活療法で治療が難しい場合は、認知行動療法などを含む心理療法を検討する。

「重症のIBS患者さんのなかには、ストレスを感じやすい思考の癖を持っている人が多い傾向にあります。うつ病や社交不安、パニック症状、過剰適応、ADHD(注意欠如・多動症)などの傾向も見られます」(同)

 思考の癖を修正することにより、下痢症状が治まることがあるという。

「治療では、IBSで困っていることに少しずつ挑戦していきます。便意が怖くて人と食事ができないなら、例えば気心の知れた友人と公園で短時間でもいいので一緒にランチを楽しむといった具合です。できることが増えていくと、少しずつ自信がつく。やがてIBSとうまくつきあっていけるようになります」(同)

 このほか、自律訓練法などのリラクセーション法も有効だ。心理療法は心療内科のほか、IBSの心理療法に力を入れている消化器内科などでも受けることができる。

(文・狩生聖子)

※週刊朝日2023年1月6-13日号より