パウダーをまぶす工程(画像=亀田製菓提供)
パウダーをまぶす工程(画像=亀田製菓提供)

「相手の企業様が、ハッピーターンの味を独自に分析して試作品を作り、亀田製菓の社員が実際に食べて感想を伝えます。そのやりとりを何度も繰り返し、最終的に弊社が味にOKを出したらコラボ商品が完成、という流れです」(林さん)

 ただ、どのコラボ先の担当者も口にするのが、あの味の再現の難しさだという。

 林さんによると、ハッピーターンの味わいは、実はハッピーパウダーだけが主役ではない。パウダーだけをなめてみると、ハッピーターンとはちょっと違う味に感じるのだという。生地とのハーモニーによって、あのおいしさが成り立っているのだ。

 作り方が分からないうえに、から揚げや焼きそばなど別の食材と組み合わせたり、ましてや飲み物にするとなると、再現はさらに難しくなる。

 企画が始まったころは自信をみせていた相手企業の担当者も、徐々に様子が変わる。

「甘すぎます」
「塩の量がもうちょっとかな」
「これだと先に甘味が来るけど、ハッピーターンはもっと先に塩気が来るよね」

 などと、レシピを知っている亀田製菓の担当者が伝える配合の「ヒント」や、社員の率直な感想をもとに試作を繰り返すが、なかなかOKは出ない。担当者が苦悩し、会議の席で頭を抱えてしまうシーンも珍しくないそうだ。

 これまで、最も開発に時間と労力を要したのは「ハッピーターン・オレ」。完成するまでに数パターンの試作品を検討した。ハッピーターンがドリンクになった時、それをどう評価すれば良いのか、亀田製菓側も悩んだそうだ。

「試作品自体はおいしいのですが、ハッピーターンのおいしさかと言えば違うよね、という評価になることが多くあります。一方で、先方の商品の良さを消してもいけません。お互いがウィンウィンになる商品を作らなければならない点がとても難しいんです。何度も試作品を作っては送ってきてくださった企業様もありましたが、社内ではさらに、気が遠くなるほど試作を繰り返したのだと思います」(林さん)

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消費者からは「ご飯にかけて食べたい」